医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Editors as Gatekeepers: One Medical Education Journal's Efforts to Resist Racism in Scholarly Publishing (Acad Med 2023)

Wyatt TR, Bullock JL, Andon A, Odukoya EJ, Torres CG, Gingell G, Han H, Zaidi Z, Mylona E, Torre D, Cianciolo AT. Editors as Gatekeepers: One Medical Education Journal's Efforts to Resist Racism in Scholarly Publishing. Acad Med. 2023 Jun 20. pub ahead of print.

背景:ジャーナルは、制度的人種差別に対抗する第一歩として、編集者の人種的多様性を拡大しはじめている。編集者がゲートキーパーとしての権力を持つことを考えると、多様なチームはマイノリティの学者にも平等に貢献する機会を保障するのに役立つ。2021年、Teaching and Learning in Medicine (TLM)は、人種的にマイノリティな人々のための編集インターンシップを創設した。本研究では、このプログラムの創設と最初の成功をよりよく理解するために、最初の6ヶ月間を検証する。

方法:著者らは、TLMインターンシップの設計と実施に暗黙的に存在する、権力とヒエラルキーにまつわる根本的な前提に焦点を当て、質的方法論である批判的共同オートエスノグラフィーを採用した。参加者は、TLM編集委員13名(インターンシップ選考委員10名、メンター3名、独立研究者2名)、外部選考委員3名、インターン3名で、複数の役割を担う者もいた。参加者のうち10名が本報告書の執筆者となった。データには、アーカイブの電子メール、計画文書、フォーカス・グループなどが含まれる。最初の分析では、何がどのように起こったのかを探り、それに続いてテーマ分析を行い、参加者が反人種主義的なプログラムを実施する責任を振り返った。

結果:プログラムはインターンの編集能力を高め、インターンはそれを高く評価し、TLM編集委員会の多様化を図ったが、反レイシズムの育成という目標は達成できなかった。メンターはインターンとの共同査読に重点を置き、人種的経験は編集プロセスから切り離すことができ、また切り離すべきであるとした。

結論:これらの結果を踏まえると、既存の人種差別的なシステムを破壊するためには、より大きな構造的変化が必要である。これらの経験は、人種中立的なレンズが反人種主義的な取り組みに与える有害な影響を認識することの重要性を強調している。今後、TLMはインターンシップを再び実施する前に学んだ教訓を実行に移し、プログラム創設時に意図した変革的な変化を生み出すことを目指す。