医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The impact of a student-led anti-racism programme on medical students' perceptions and awareness of racial bias in medicine and confidence to advocate against racism (Med Educ Online 2023)

Lynn TM, D'urzo KA, Vaughan-Ogunlusi O, Wiesendanger K, Colbert-Kaip S, Capcara A, Chen S, Sreenan S, Brennan MP. The impact of a student-led anti-racism programme on medical students' perceptions and awareness of racial bias in medicine and confidence to advocate against racism. Med Educ Online. 2023;28:2176802.

背景:体系的な人種差別は個人と地域の健康に影響を与える。しかし、医療の不平等を永続させる役割に関する教育は、医学教育カリキュラムではまだ限定的である。本研究では、学生主導の反人種差別プログラムを実施し、医学生の医療における人種的偏見の認識、医療における人種差別に対する認識と擁護の自信に与える影響を評価した。

方法:合計543名の初期段階の医学生がプログラムに参加するよう招待された。参加者は、医学における人種的不公正を探求するリーディングとビデオを割り当てられ、教員と学生が進行役を務めるバーチャル・スモール・グループ・ディスカッションに参加した。オンライン調査は、回答項目にリッカート尺度を用いて、プログラム前後のデータを収集するために使用された。自由形式の質問については、3名の著者が反射的テーマ分析により独立に検討した。

結果:63名の早期医学生がプログラムに参加し、そのうち42名がプログラム前のアンケートに回答した。プログラム終了後のアンケートへの回答率は76%(n = 32)であった。大多数の学生(60%, n = 25)は、医学における人種差別について以前に教育を受けたことがなかった。プログラム前からプログラム後にかけて、学生の認識する人種の定義が、遺伝的、生物学的、地理的、文化的要因から社会政治的要因へと有意に変化した(P < 0.0001)。人種差別に対する学生の認識と、人種差別に対して擁護する自信を評価するほぼすべての要素において、有意な増加が観察された。人種主義について議論する際に生徒が特定した障壁は、教育や生活経験の不足、対立を始める恐れ、他人を不快にすることなどであった。調査の回答者全員がこのプログラムを仲間に勧め、69%(n = 32)がさらに話題性のある自己啓発に取り組んだ。

結論:このシンプルで再現可能なプログラムは、医療における人種差別に反対を唱えるための意識と自信を向上させ、人種に基づく医療行為に関する意見の変化をもたらす結果となった。これらの知見は、医療における人種的偏見への対処、医療カリキュラムの脱植民地化、将来の医師に対する反人種主義教育の強化に向けたベストプラクティスと一致するものである。