医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Medical student residency preferences and motivational factors: a longitudinal, single-institution perspective (BMC Med Educ 2022)

Ladha FA, Pettinato AM, Perrin AE. Medical student residency preferences and motivational factors: a longitudinal, single-institution perspective. BMC Med Educ. 2022;22:187.

背景:メディカルスクール卒業生のうち、入学時に申告した専門分野と異なる分野に進む人の割合は高い。これらの選択は、学生が経験するキャリアパス、満足度、潜在的後悔に影響を与える一方で、多くの専門分野にわたる医師不足の需給比に影響を与える。本研究では、専門の選択とその動機となる要因がメディカルスクールのトレーニングの開始時と終了時でどのように変化するかを調査する。

方法:コネティカット大学の医学生コホートに対して2017年から2020年まで毎年アンケートを実施し、レジデンシー選択に関する縦断的な嗜好、レジデンシー選択に影響を与える動機づけ要因、将来のキャリアパス、人口統計学的情報を明らかにした。

結果:アンケート回答者の合計は、n = 76(1年目)、n = 54(2年目)、n = 31(3年目)、n = 65(4年目)であった。新入生では、プライマリー・ケアに関心があったのは25.0%であったが、メディカルスクール最終学年では35.4%と約1.4倍に増加した。一方、新入生の38.2%が外科系に興味を示したが、最終学年では15.4%と2.5倍程度に減少していた。最終学年の専門分野選択で新入生からの絶対的変化が大きかったのは、整形外科(-9.9%)、家庭医療(+8.1%)、放射線科(+7.9%)、一般外科(-7.2%)、麻酔科(+6.2%)などであった。プライマリー・ケアに関心を持つ新入生は、外科に関心を持つ学生と比べて動機づけ要因の順位に差はなかったが、最終学年では多くの要因が両者のキャリアパス間で大きく乖離することが示された。特に、外科系に関心を持つ学生は、プライマリケアに関心を持つ学生に比べ、給与や名声といった報酬に動機づけられ、マッチへの自信や家族・場所といった要因をより高く評価していた。

結論:我々は、メディカルスクールの初期から後期にかけてレジデンシー選択がどのように変化するか、特定の動機づけ要因が時間とともにどのように変化するか、これらの結果がプライマリー・ケアと外科専門の選択でどのように乖離しているかを明らかにし、レジデンシー選択に関するリスクとリターンのバランスに基づいた新しい理論を提案した。我々の研究は、学生の嗜好に対する認識を促し、より学生に合ったトレーニング・アプローチを開発するための学校カリキュラムの指針となる可能性がある。これは、キャリア満足度と医師労働力に関する長期的な前向きな変化を促進する可能性がある。