医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Reframing professional identity through navigating tensions during residency: A qualitative study (Perspect Med Educ 2022)

Santivasi WL, Nordhues HC, Hafferty FW, Vaa Stelling BE, Ratelle JT, Beckman TJ, Sawatsky AP. Reframing professional identity through navigating tensions during residency: A qualitative study. Perspect Med Educ. 2022 Mar 17. Epub ahead of print.

背景:プロフェッショナル・アイデンティティ形成(PIF)とは、医療専門職の特性、価値観、規範を内面化することである。個人のアイデンティティ形成には、心理学的な影響と社会学的な影響の両方がある。社会心理学は、PIFの心理学的側面と社会学的側面の相互作用を探るのに有用であると考えられる。本研究では、レジデントが専門職の理想と医療行為の現実との間の緊張関係をどのように乗り越え、研修トレーニング中のPIFを特徴づけるかを検討した。

方法:構成主義的グラウンデッド・セオリーを用いて、筆者らは内科系レジデントに対して23回の半構造化インタビューを実施した。インタビュー記録は、オープンコーディングと分析的メモ書きによって処理された。データ収集と分析の際には、社会的認知理論 (Social Cognitive Theory )、特に人・行動・文脈の間の双方向的影響力を利用して、テーマ間の関係性を分析した。理論的な洞察は、グループディスカッションや新たに収集されたデータとの継続的な比較を通じて洗練されていった。

結果:レジデントは、「良い医者」という既存の理想と医療現場の現実との間で研修期間中に経験する緊張について述べ、しばしばレジデントが理想を再定義するよう挑んでいた。著者らは、アイデンティティ(個人)、行動、環境(文脈)の間に動的で双方向的な影響があることを証明し、PIFがこれらの要素間の複雑な相互作用によって情報提供されていることを実証した。また、レジデントが研修中に自分の理想をどのようにリフレーミングしたかを2つの事例で示した。

結論:SCTによってもたらされた、人、行動、文脈間の複雑な双方向の影響は、研修トレーニングにおけるPIFのプロセスを明らかにするのに役立つ。本研究は、レジデントのプロフェッショナル・アイデンティティの形成に、研修のコンテクストが影響を及ぼすことを明らかにした。