医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Perceptions of transition into clinical placement (Clin Teach 2022)

Scott NL, Mahran S, Patel R, Culshaw M. Perceptions of transition into clinical placement. Clin Teach. 2022;19:129-135.

背景:医学生にとって大きな転換 (transition)は、カリキュラムの前臨床期から臨床期への移行である。この移行を効果的に管理するために、多くのメディカルスクールで準備スキルコースやピアメンタリングなどの介入が行われているが、学生はこの時期に対して不安を抱えたままである。本研究の目的は、カリキュラムの前臨床期から臨床期への移行にまつわる学生の感情や認識を調査し、この経験をよりうまく管理するための支援策を検討することである。

方法:最初の臨床実習を開始するすべての学生を対象とした横断的研究を実施した。アンケートはオンラインで実施された。順序データはリッカート尺度による回答で収集された。自由記述による回答は、テーマ分析によって分析された。

結果:リッカート尺度による回答では、ほとんどの学生(69%)が、様々な病棟で過ごすことを楽しみにしていることに同意または強く同意していた。また、41%と43%の学生が、病歴聴取や臨床実習のサポートが受けられることに同意していた。大多数の学生は、病棟での明確な役割があることに同意しない(28%)か、わからない(27%)と回答した。自由記述では、学生は患者との接触や新しい学習方法を楽しみにしているが、ミスをすること、スタッフの態度の悪さ、個人のwell-being、臨床環境における目的の欠如を懸念していることが確認された。

結論:臨床段階への移行は複雑であり、学生はスキルや知識の不足以外にも様々な不安を抱えている。これらの悩みに対処するためには、心理的well-beingと学業達成の両方を向上させるための介入策を開発する必要がある。