医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Who is on your team? Specialty identity and inter-physician conflict during admissions (Med Educ 2021)

Schrepel C, Amick AE, Bann M, Watsjold B, Jauregui J, Ilgen JS, Sebok-Syer SS. Who is on your team? Specialty identity and inter-physician conflict during admissions. Med Educ. 2021 Dec 23. Epub ahead of print.

背景:プロフェッショナリズムのカリキュラムや標準化されたコミュニケーションツールの導入にもかかわらず、医師間の対立は絶えない。特に、救急医療(EM)と内科医療(IM)の接点は、長い間、対立の原因として認識されてきた。しかし、この対立の社会的なニュアンスはまだ十分に解明されておらず、教育者が臨床学習環境においてこれらの問題を包括的に扱うことは困難である。そこで著者らは、医師間の対立の原因となる社会的な力学をよりよく理解し、コミュニケーションのベストプラクティスの基礎となる指針を提供するために、EMとIMの医師による入院交渉の経験について調査した。

方法:構成主義的グラウンデッド・セオリー(CGT)アプローチを用いて、著者らは2020年6月から10月にかけて、入院に関する会話 (conversations regarding admissions; CRA)に関わったことのあるEM医師とIM医師に対して18回の半構造化インタビューを実施した。彼らは参加者に、これらの会話に影響を与えた社会的ダイナミクスを説明し、医師間の対立の経験について振り返るよう求めた。データ収集と分析は繰り返し行われた。コード間の関係については、出現したテーマ間の概念的なつながりを構築することを目的として、研究チーム内で議論された。

結果:参加者は、CRAへのアプローチが専門分野のアイデンティティによって形成されていること、また、所属グループのメンバーへの忠誠心が対人関係の対立に寄与していることを説明した。この対立は、組織内での無力感、期待値のずれ、所属グループの特権を推進したいという願望によって、さらに促進された。患者ケア経験によって、従来のグループの境界を取り払った専門分野横断的なチーム形成と協力が促進されると、葛藤は軽減された。

結論:CRAにおけるEM医師とIM医師の対立は、参加者の専門分野に対するアイデンティティ、より広い組織内での権力闘争、および自分の専門分野に対する義務感によって誘発された。しかし、専門医間の協力的なチーム形成と、他の専門医の同僚を含めるためのアイデンティティの拡大は、相互対立を軽減することができる。