医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Unobserved Observers: Nurses' Perspectives About Sharing Feedback on the Performance of Resident Physicians (Acad Med 2021)

Bhat C, LaDonna KA, Dewhirst S, Halman S, Scowcroft K, Bhat S, Cheung WJ. Unobserved Observers: Nurses' Perspectives About Sharing Feedback on the Performance of Resident Physicians. Acad Med. 2021 Oct 12. Epub ahead of print. 

背景:卒後研修プログラムでは、レジデントのパフォーマンスを全体的に評価するために、registered nurses (RN)からのフィードバックを取り入れている。看護師は、指導医がいないときに臨床現場で研修生を観察することが多いため、フィードバックの豊富な情報源となる可能性がある。しかし、フィードバックの共有に関するRNの視点は、これまで深く検討されていない。本研究では、フィードバックの提供に関する看護師の見解を調査し、その関与に影響を与える促進要因と障壁を検討した。

方法:2019年7月から2020年3月にかけて、カナダ・オンタリオ州の三次ケア学術医療センターの2つのキャンパスで、構成主義的なグラウンデッド・セオリー方法論を用いて、救急医療のRN11名と内科のRN8名にインタビューを行った。インタビューでは、臨床研修でレジデントと一緒に働き、レジデントを観察したRNの経験を探索した。データ収集と分析は反復的に行われた。テーマは、constant comparative analysisを用いて特定した。

結果:RNは、指導医が見ていないことが多いレジデントの日々の行動を実際に観察し、患者アドボカシー、コミュニケーション、リーダーシップ、コラボレーション、プロフェッショナリズムに関する独自のフィードバックを提供できると感じていた。レジデントの教育に貢献したいという強い願望があるにもかかわらず、RNはフィードバックを共有することに不安を感じており、ヒエラルキーや力の差、職業上の境界線を超えることへの恐れなどの障壁を報告した。頻繁ではなかったが、RNが安心してフィードバックを共有するための重要な刺激は、監督医師からの意見提供の呼びかけであった。

結論:学術医療におけるヒエラルキーの認識は、レジデントへのフィードバックに看護師を参加させるうえでの重要な障壁となっている。レジデントの真の行動に対する看護師のフィードバックを得るためには、ヒエラルキーの弊害を解消し、専門家間の協力的な職場環境を醸成する必要がある。この目標を達成するための重要なステップは、指導医がRNを招待してフィードバックを求める行動のモデルとなることである。看護師の意見を認め、レジデントの教育に貢献できる安全な機会を設ける職場文化が確立されない限り、看護師の声は届かないままである。