医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The contribution of simulated patients to meaningful student learning (Perspect Med Educ 2021)

Lovink A, Groenier M, van der Niet A, Miedema H, Rethans JJ. The contribution of simulated patients to meaningful student learning. Perspect Med Educ. 2021 Oct 12. Epub ahead of print.

背景:模擬患者(SP)を用いたコミュニケーショントレーニングは、コミュニケーションスキルを教えるうえで貴重かつ効果的な手段として広く受け入れられている。しかし、模擬患者と学生との出会いのなかで、どのような要素がこれらの学習体験を意味あるものにするのかは不明である。本研究では、学生の有意義な学習におけるSPの役割に焦点を当て、学生の視点からSPの貢献度を深く理解することを目的とする。

方法:15人のtechnical medicineの学士学生にインタビューを行った。technical medicineの学生は、パーソナライズされた技術を使用して個々の患者のケアを最適化する技術的な医師になる。SPと学生との出会いにおける有意義な学習経験についての彼らの認識を、詳細な半構造化インタビューを通じて探索し、テーマ分析を用いて分析した。

結果:有意義な学習体験のために学生が重要だと考えていることについて、3つの主要なテーマが特定された。第一に、SPは暗黙のフィードバック・イン・アクションを行う。これにより、学生は会ったときのコミュニケーションの印象を受け取ることができた。暗黙のフィードバック・イン・アクションは、SPの本物の反応として認識された。第二に、暗黙のフィードバック・イン・アクションは、学生が診察中に自分の行動を振り返るというリフレクション・イン・アクションのプロセスにつながる可能性がある。第三に、SPとの相互作用は、学生のアイデンティティ獲得に貢献し、専門的かつ個人的なレベルで自分自身を知ることを可能にした。

結論:SPとの出会いのなかで、学生は単にコミュニケーションスキルを学ぶだけではなく、SPとの相互作用は、学生の専門的・個人的なアイデンティティ獲得に貢献する。主に、対話中のSPの真の反応は、学生に自分のコミュニケーション能力を理解させる。これは、SPを標準化することで、意味のある学習の機会を制限するのではないかという問題を提起している。