医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

'It depends': The complexity of allowing residents to fail from the perspective of clinical supervisors (Med Teach 2021)

Klasen JM, Teunissen PW, Driessen EW, Lingard LA. 'It depends': The complexity of allowing residents to fail from the perspective of clinical supervisors. Med Teach. 2021 Oct 11:1-10. Epub ahead of print.

背景:臨床指導者は、教育目的で研修生の失敗を許容することがあることを認めている。しかし、どのようにして指導者が特定のケースで失敗を許容するかどうかを決定しているのかは不明である。このような決定の重要性を考えると、教育的に強力で臨床的にデリケートなこの現象についての会話に情報を提供するために、このような知識が必要である。

方法:19人の指導者が半構造化インタビューに参加し、臨床研修における失敗を認めるかどうかの判断をどのように見ているかを探った。構成主義的なグラウンデッド・セオリーの方法論にしたがい、反復的に収集されたデータと分析は、理論的なサンプリングに基づいて行われた。

結果:教育目的のためにレジデントの失敗を認めることを検討した事例を思い出し、監督者はこれらを直感的で瞬間的な決定と特徴づけた。また、事後的な反省として、これらの決定に影響を与えたと思われる4つの要因を明確にすることができた。すなわち、患者要因、指導者要因、研修生要因、環境要因である。患者要因が第一の要因であると報告されたが、これらの要因は動的かつ非線形な方法で相互に作用しているようであり、失敗を許すかどうかの監督者の判断は、ある状況から次の状況へと予測できない可能性がある。

結論:臨床指導者は、その場その場で多くの判断を下すが、レジデントの失敗を許容することもその一つであると思われる。よく考えてみると、指導者は自分の判断が臨床研修環境の繰り返し起こる要因によって形成されていることを理解している。これらの要因が複雑に絡み合っているため、このような判断を予測することは不可能ではないものの、困難である。しかし、これらのダイナミックな要因を表現する言葉を持つことは、臨床教育者がこのハイステークスな教育戦略について意味のある議論をすることをサポートする。