医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

A Mixed-Methods Study of Teaching Health Center Residents' Experiences of Mentorship, Career Planning, and Post-Residency Practice Environments (Acad Med 2021)

Strasser JH, Jewers MM, Kepley H, Chen C, Erikson C, Regenstein M. A Mixed-Methods Study of Teaching Health Center Residents' Experiences of Mentorship, Career Planning, and Post-Residency Practice Environments. Acad Med. 2021 Sep 21. Epub ahead of print.

背景:Teaching Health Center(THC)卒後医学教育プログラムは、卒後医学教育の支払い構造と研修環境を変えることにより、プライマリ・ケア医が、地域に根ざした、underservedな環境で研修できるようにするものである。THCがどのようにして地域に根ざしたプライマリ・ケア医の育成に成功したのかを理解するために、著者らは混合法による探索的研究を行い、THCのレジデント卒業生がレジデント期間中に受けた指導やキャリアプランニングの経験、レジデンシー後の診療の準備についての認識、そしてこれらの経験がレジデンシー後の診療環境とどのように関連しているかを調べた。

方法:2014年~2017年に全国で卒業したTHC研修医804名全員を対象にアンケート調査を実施した(533名、回答率66%)。卒業生のレジデンシー後の診療準備に対する認識(リッカート尺度)、メンターシップとキャリアプランニングに対する満足度(リッカート尺度)、レジデント後の診療環境の特徴(自由記述)の3つの定量的アウトカムを測定した。また、テーマ別内容分析を用いて、オープンテキストのアンケート回答の質的分析を行った。

結果:THC卒業生のほとんど(68%)は、メンター制度とキャリアプランニングの経験に満足しており、一般的に複数の環境での研修後の実践に備えていると感じていた(78%~93%)。自分の診療環境について情報を提供してくれた533名のTHC卒業生のうち、445名(84%)はプライマリ・ケアで診療を行っていた(全国的には、プライマリ・ケアレジデンシーを終えた医師のうち64%がプライマリ・ケアに従事している)。プライマリ・ケアを行っている 445名の卒業生のうち、12%が農村部で診療を行っていた(比較:全医師だと7%)。また、THC卒業生の半数強(51%)が、underservedな地域で診療を行っていた(比較:全医師だと39%)。

結論:本研究は、THCモデルが、underservedな地域で診療できるプライマリ・ケア医を生み出し、維持することができるという初期のエビデンスを示している。これらの有望な結果を考えると、THCプログラムを拡大することには大きなメリットがあると思われる。しかし、このプログラムは、継続的で安定した資金を得ることができるかどうかは、引き続き不透明である。