Zhou Y, Bos NA, Diemers AD, Brouwer J. A social network perspective on peer relationship formation of medical undergraduates within large-scale learning communities. Med Educ Online. 2023;28:2162253.
背景:学習コミュニティ(LC)内で正式に組織された学習グループなど、正式なカリキュラム設計によって形成される学生の正式なネットワークは、学生の相互作用や学習に利益をもたらす可能性がある。しかし、大規模なLCが、学生の自主的な授業外での人間関係である様々な非公式な仲間関係の形成にどのように寄与しているかは不明である。LCにおける関係性の形成は、2つのメカニズムで説明できる。一つは、公式のネットワーク内の親和性、もう一つは、学生の特性(国籍、性別、学業成績)の同相性である。本研究では、学生の特性をコントロールしながら、学生の非公式ネットワークの形成が、どの程度、学生の公式ネットワーク(LC)によって決定されるのか、また、どのメカニズムが重要な役割を果たすのかについて検討する。
方法:オンライン調査により、医学部1年生69名、2年生51名(2890の関係)から、5つの非公式ネットワーク(助けを求める、コラボレーション、情報共有、友情、学び合い)に関するデータを収集した。学生は正式なカリキュラムのなかで4つのLCに分けられた。1年生と2年生、国内と海外、公式ネットワーク内と公式ネットワーク間とで、学生の5つのインフォーマルネットワーク構造を比較した。さらに、UcinetのQuadratic Assignment Procedure(QAP)回帰分析を用いて、学生の非公式および公式ネットワーク(LC)と学生の特徴との関連を調査した。
結果:学生は、LC間よりもLC内でより多くの非公式なつながりを持つため、親密性(同じLC内)が役割を担っている。さらに、1年生よりも2年生の方がより大きな役割を果たすようである。国籍の同類性は、非公式なネットワーキングにおいて重要であり、学生は同じような国籍の他者とつながる可能性が高い。
結論:学生は、同じLCに長く在籍することで、LC内でのつながりがより強くなる。公式ネットワークは、LC内の学生の非公式な交流を高めるが、他のLCの学生との交流は制限されるようである。留学生が国内の学生とともにLCに溶けこむためには、サポートが必要である。