医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Use of seven types of medical jargon by male and female primary care providers at a university health center (Patient Educ Couns 2021)

Miller AN, Bharathan A, Duvuuri VNS, Navas V, Luceno L, Zraick R, Atmakuri S, Schmidt-Owens M, Deichen M, Ayers T, Thrash K. Use of seven types of medical jargon by male and female primary care providers at a university health center. Patient Educ Couns. 2021 Aug 27:S0738-3991(21)00562-0. doi: 10.1016/j.pec.2021.08.018. Epub ahead of print. PMID: 34489148.

背景:本研究の目的は、大学病院のプライマリ・ケア提供者における隠語 (jargon)の使用範囲と種類を調査し、隠語の使用と患者の転帰との関連性を評価し、男性と女性の提供者間の隠語の使用の違いを明らかにすることである。

方法:本研究では、因果比較デザイン (causal comparative design)を採用した。87件のプライマリ・ケア・インタビューの音声記録を逐語録化し、PittとHendricksonの7カテゴリーの医療隠語分類フレームワークを用いてコーディングした。

結果:約80%の診察で、説明できない隠語が1つ以上含まれており、1回の診察で平均4つ以上の隠語が使用されていた。最も頻繁に使用された隠語のタイプは、専門用語と医療用語であった。また、頭字語や略語、医学的な英語、不必要な同義語などもよく使われていた。明確な隠語のうち半分弱が説明されていた。男性医師は、女性医師に比べて1分間に使用する隠語の数が50%近く多く、女性医師に比べて専門的隠語を多く使用していた。しかし、その隠語を説明する頻度は、女性と同じくらいであった。

結論:これまでの研究では、隠語の運用定義を2~3種類に限定することが多かったが、PittとHendricksonが提案した包括的な類型化は、幅広い隠語の使用状況を特定するための有用なツールとなる。今後の研究では、より多様で教育を受けていない患者集団や、さまざまなタイプの医療従事者において、このような広範囲の隠語の結果を調べる必要がある。
今回のサンプルでは、平均して4分に1回以上の割合で隠語が使用されており、隠語の半分しか説明されていないことから、医療従事者自身が思っている以上に、プライマリー・ケアの現場でも医療隠語が問題となっている可能性がある。特に男性医療従事者は、患者と医療従事者のコミュニケーションをより効果的にし、患者の転帰を改善するために、隠語の使用をより意識し、用語の説明に気を配る努力をするとよいだろう。