医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Developing Academic Leadership From A Distance: A Health Professions Education Practicum Course (Acad Med 2021)

Samuel A, Durning SJ, Larsen KL. Developing Academic Leadership From A Distance: A Health Professions Education Practicum Course. Acad Med. 2021 Jan 12. Epub ahead of print.

背景:リーダーシップスキルは医療専門職教育 (HPE)を成功させるための基本的なものだが,HPEの学位プログラムは,遠隔地から有意義なリーダーシップ指導を提供することに苦労している.

方法:Uniformed Services University of the Health SciencesのHPEプログラムのリーダーが,学習者に日常のリーダーシップの役割と責任を遠隔地から指導的に体験してもらうための,実習コースを開発した.この現在も続いている実習コースは,2018年秋に開始され,意図的な実践と自己管理的学習 (self-directed learning; SDL)の原則によって広く形作られたものだが,学習者が6つのステップを踏むプロセスが含まれている.すなわち,(1) 獲得すべきリーダーシップのコンピテンシーを特定する,(2) 自分の職場でリーダーシップの要素を含む役割と責任を特定する,(3) 実習活動のための個人的なリーダーシップの目標を特定する学習合意書を作成する,(4) 実習ディレクターから専門科のプリセプターを任命される,(5) フィードバックと専門的アドバイスを受けるためプリセプターとの定期的ミーティングを開始する,(6) 自分自身とプリセプターとの間で振り返りを行って実習活動を終了する.実習活動のタイムラインは柔軟なものであり,プリセプターは学習者とプロジェクトのライフスパンを通じて学習者と協力する.学習者は,様々なリーダーシップコンピテンシーを向上させるために,複数の実習活動に参加することができる.

結果:2018年秋以来,36人の学習者が83個の実習活動に参加しており,45個 (54%)が終了した.実習活動では,リーダーシップコンピテンシーは他の活動のなかに組み込まれていることが非常に多く,それぞれの状況に固有のものであることが示されている.実践の振り返り,チームでの協力,コンフリクトの交渉と解決が,学習者が向上させたいリーダーシップコンピテンシーとして最も多く特定されたものであった.学習者からの実習活動へのフィードバックは,ポジティブなものであった.

結論:この実習コースは,様々な組織的背景に適応しうるモデルを提供している.将来的には,学習者とプリセプターの両方から経験に関するデータを集めて,学習者の雇用者や監督者からのフィードバックを募ることを計画している.