Ryan A, Judd T, Swanson D, Larsen DP, Elliott S, Tzanetos K, Kulasegaram K. Beyond right or wrong: More effective feedback for formative multiple-choice tests. Perspect Med Educ. 2020;9:307-313.
背景：テスト強化学習 (test-enhanced learning)におけるフィードバックの役割は、学生の学習を向上させる可能性があるが、十分に研究されていない分野である。本研究の目的は、テスト強化学習のフレームワークのなかで、生物医学的知識の保持と伝達に対する、テスト後の様々な形態のフィードバックの影響を調査することである。
方法：カナダとオーストラリアのメディカルスクールの64人の参加者が、1週間間隔で、2回のベストアンサー形式の多肢選択テストを受けた。我々は、概念的に焦点を当てたフィードバック、反応志向型のフィードバック、そして単純な正しい/間違ったフィードバックが、学習者の新しい (transfer)問題に正しく答える能力に与える影響を比較した。最初のテストでは、参加者は、フィードバック付きの親項目を受け取り、その後、親項目と密接に関連した項目 (near transfer)と親項目から遠く離れた項目 (far transfer)に挑戦した。1週間後の繰り返しテストでは、参加者は、親項目のnear transferとfar transferの異なるバージョンが与えられた。フィードバックの種類、およびnear transfer, far transferの項目は、参加者内および参加者間でランダム化された。
結果：解析の結果、どちらのタイプのtransfer taskにも、そして即時および最終的な保持テストパフォーマンスのどちらにとっても、反応志向性フィードバックと、概念的に焦点を当てたフィードバックとが、伝統的な正しい/間違ったフィードバックよりも優れていることが示された。しかしながら、near transferまたはfar transferの問題については、反応志向性グループと概念重視型グループとで統計的に有意な差はなく、また、最初のテストと1週間後の保持テストの間にパフォーマンスの差はなかった。transferについてのほとんどの研究と同様に、参加者のfar transferのスコアは、near transferのスコアよりも低かった。
結論：正しい/間違ったフィードバックは、テスト強化学習を強化する可能性は限られているように見える。本研究の知見によって、項目レベルのフィードバックと重要な概念的知識を特定して詳しく説明するフィードバックが、学習、保持、伝達に関する将来の研究にとって重要な2つの領域であることが、示唆された。
個人的メモ：本研究で比較された3つのフィードバックの意味するところが、absrtactだけではわかりづらいのですが、本文中には以下の記述があります。
1. The baseline right/wrong feedback condition was a simple presentation of whether the question was answered correctly or incorrectly, and identification of which option was correct;
2. The response-oriented feedback provided brief explanations for why each option was correct or incorrect without emphasizing any underlying conceptual schemas for clinical reasoning;
3. The conceptually focused feedback described the pathophysiological or biomedical principles that are fundamental to the patient problem represented in the item and articulated the conceptual schemas necessary for solving clinical problems related to the same underlying concept.
