医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Impact of simulation-based teamwork training on COVID-19 distress in healthcare professionals (BMC Med Educ 2020)

Beneria A, Arnedo M, Contreras S, Pérez-Carrasco M, Garcia-Ruiz I, Rodríguez-Carballeira M, Raduà J, Rius JB. Impact of simulation-based teamwork training on COVID-19 distress in healthcare professionals. BMC Med Educ. 2020;20:515.

背景:リーダーシップ、コミュニケーション、状況認識 (situation awareness)などのnon-technical skillは、危機的状況における効果的なチームワークをもたらす。本研究の目的は、医療専門職のCOVID-19 pandemicに対する感情的反応におけるこれらの技術の役割を分析することである。

方法:COVID-19が生じる前に、医師48人、看護師48人が、シミュレーションを通じたnon-technical skillの指導に基づいたシミュレーションベースのチームワークトレーニングプログラムに参加した。2020年5月、COVID-19紹介病院のこの専門家グループは、PSS-14 (perceived stress scale)とHADS (hospital anxiety and depression scale)の尺度を用いて、ストレス、不安、抑うつを探索する調査への参加に招待された。トレーニングを受けていないコントロール群も含まれた。シミュレーションベースのチームワークトレーニングプログラムへの参加が心理的苦痛を呈する (PSS-14 > 18またはHADS > 12)確率を変化させたかどうかを評価するために、ロジスティック回帰を行った。

結果:141人の医療専門職が参加し、そのうち、介入群が77人、コントロール群が64人だった。PSS-14に基づくと、介入群の70.1%、コントロール群の75% (p = 0.342)がストレス症状を呈していた。COVID-19患者との接触 [OR 4.16 (1.64-10.52)]、未成年の子持ちであること {OR 2.75 (1.15-6.53)]、医師として働いていること [OR 0.39 (0.16-0.95)]、女性であること [OR 2.94 (1.09-7.91)]は、PSS14症状と相関があった。
HADSに基づくと、介入群の54.6%、コントロール群の42.2% (p = 0.346)が、不安あるいは抑うつの症状を呈していた。COVID-19患者との接触があったこと [OR 2.17 (1.05-4.48)]、未成年の子持ちであること [OR 2.14 (1.06-4.32)]は、HADS症状と相関があった。COVID-19患者のケアに参加した医療重視者は、より高いレベルの不安と抑うつを示した [OR 2.56 (1.03-6.36) (p = 0.043)]。

結論:シミュレーションを通じたnon-technical skillの訓練を受けた医療専門職は、COVID-19 pandemicにおいて、より高いレベルの不安と抑うつ、少ないレベルのストレスを抱える傾向があった。