医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Ignitions of empathy. Medical students feel touched and shakened by interacting with patients with chronic conditions in communication skills training (Patient Educ Couns 2020)

Rieffestahl AM, Risør T, Mogensen HO, Reventlow S, Morcke AM. Ignitions of empathy. Medical students feel touched and shakened by interacting with patients with chronic conditions in communication skills training. Patient Educ Couns. 2020 Dec 26. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、コミュニケーションスキルトレーニングという文脈において、医学生が慢性疾患患者から、何をどのようにして学んでいるのかを探索することである。

方法:32人の医学生を対象に、半構造化インタビューとフォーカスグループを行った。インタビューは録音し、逐語録化し、帰納的に解析して、4つの主なナラティブテーマに分類された。

結果:患者からの学習により、医学生は、患者の眼を通じて世界を見る機会、患者のニーズの多様性を理解する機会、患者と医師の見方を合わせる重要性を認識する機会を得た。結果として医学生は、「医療専門家」としての役割を演じることに関連した患者との相互作用という難関への感情的反応を表現した。医学生の患者との関わりのなかで、共感することの難しさが明らかになった。

結論:患者の本物の貢献は、医学生に、自分の感情や共感能力に関わるユニークな機会を与えてくれた。しかし、学生がこの感情的な実習の恩恵を受けるためには、専門的な側面と個人的な側面とのバランスをとるための指導が必要である。医学教育に"doctor as person"を導入する必要がある。