医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Challenges, coping and support during student placement abroad: A qualitative study (Med Teach 2023)

Wijbenga MH, Duvivier RJ, Driessen EW, Ramaekers SPJ, Teunissen PW. Challenges, coping and support during student placement abroad: A qualitative study. Med Teach. 2023 Jun 4:1-7. Epub ahead of print.

背景:医療系学生は、海外での実習中に、実習への参加に関連した個人的・職業的なさまざまな課題に直面することがある。本研究では、学生がそのような課題にいつ、どのように対応し、どのような対処や支援メカニズムを用いて克服しているのかを調査する。

方法:25名の留学生が、オランダでの理学療法実習についての経験を語った。クリティカル・インシデント法 (critical incident technique)を用いて、クリニック内外の不測の事態によって参加に影響があった出来事を思い出してもらった。さらに、個々の課題を克服するために、社会的ネットワークにサポートを求める学生の戦略を探った。2人の研究者が、反復的なアプローチでインタビューデータにテーマ分析を施した。チームでのディスカッションにより、データ収集と分析の方向性を絞り込み、結果を概念化した。

結果:参加者は、さまざまな課題を説明した。課題の範囲や影響度は、異文化の違い、言葉の壁、職場における不適切な行動、学生の個人的な状況やウェルビーイングなど、多岐にわたった。これらの課題を克服するために学生が採用したメカニズムは、イベントの種類(個人的なもの、仕事上のもの)によって異なり、利用可能なネットワークを目的に応じて活用することができた。

結論:学生は、海外派遣中に臨床スタッフ、同僚、家族、友人を巻き込み、サポートネットワークを意図的に利用して参加時の課題を克服しているが、学術的なネットワークは依然として遠いままである。この結果は、海外派遣に関わる教員や他の専門家の役割と責任について考えるのに役立つと思われる。医療プログラムは、実習前、実習中、実習後のサポートが学生の手の届くところにあることを保証すべきである。