医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Upward Feedback: Exploring Learner Perspectives on Giving Feedback to their Teachers (Perspect Med Educ 2023)

Wisener K, Hart K, Driessen E, Cuncic C, Veerapen K, Eva K. Upward Feedback: Exploring Learner Perspectives on Giving Feedback to their Teachers. Perspect Med Educ. 2023;2:99-108.

背景:学習者からのフィードバックは、医学部教員にとって重要な動機付けとなることが知られているが、その伝え方が悪いとやる気をなくし、教員に不満や不安を残すこともある。これまでの研究では、学習者が上方フィードバック (upward feedback)を行う際に直面する課題を明らかにしてきたが、課題が学習者の目標やフィードバックを行う際のアプローチにどのような影響を及ぼすかは調査されていない。本研究では、教師へのフィードバックに関する学習者の視点を調査し、上方フィードバックの質を最適化する方法について理解を深める。

方法:ブリティッシュ・コロンビア大学のMDプログラムの学習者16名を対象に、半構造化インタビューを実施した。インタビューは、解釈的記述法を適用し、データが十分な量に達するまで継続した。反復分析により、seniority、研修先、年齢、性別などの一般的な傾向と、個人差のある傾向を説明した。

結果:学習者は、上方フィードバックに関する意図的な目標(例:効果的な教育実践の奨励)を明示した。しかし、自分のイメージを守りたいなどの相反する優先順位が緊張を生み、教育の質と相反するフィードバックにつながった。学習者が直面するフィードバック要求の数や、学習者が自分のフィードバックを有意義だと思うかどうかなど、いくつかの要因が、上方フィードバックの目標や競合する目標がどの程度実現されるかを媒介するものであった。

結論:我々の発見は、課題が発生した際の学習者の上方フィードバックへのアプローチに影響を与える複雑さについて、ニュアンスのある理解を提供するものである。特に、目標の衝突は、学習者が上方フィードバックを通じて教師のサポートに貢献することを困難にする。上方フィードバックの質を高める努力は、目標の優先順位付けを媒介する要因に取り組むことで、目標間の競争を減らすことから始めるべきである。