医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Altruism in medical education: assessing attitudes of hospital in-patients towards face-to-face contact with medical students during the COVID-19 pandemic (BMC Med Educ 2023)

Gritzner A, Scurr T, Pearce C, Sorrell L, Dalton G, Solola J, Derry D. Altruism in medical education: assessing attitudes of hospital in-patients towards face-to-face contact with medical students during the COVID-19 pandemic. BMC Med Educ. 2023;23:149.

背景:パンデミック以前は、患者は医学生の受診に寛容であったという調査結果がある。しかし、COVID-19パンデミックでは、学生による院内感染や患者への危害の潜在的リスクが浮き彫りになった。このようなリスクに関する患者の意見はまだ解明されておらず、インフォームドコンセントの引き出しに影響を与える。我々は、これらの意見を明らかにし、学生との直接的な交流のリスクと利益に関する考察が患者の態度に影響を与えるかどうかを調査することを目的とする。さらに、感染リスクを軽減するための対策についても検討した。

方法:わわわれは今回の横断研究のために独自の質問票を作成し、プリマスのデリフォード病院において、2022年2月18日から3月16日の間に25病棟の入院患者200人に記入してもらった。集中治療室に入っている患者、COVID-19に感染している患者、研究情報を理解できない患者は除外された。16歳未満の入院患者には保護者の回答が記録された。学生との会話や診察に対する意欲を示す最初の質問に続き、学生との交流のリスクとメリットを探る9つの質問が繰り返され、17の質問が用意された。さらに4つの質問で、感染リスクの軽減について検討した。データは、頻度とパーセンテージ、ウィルコクソンの符号付き順位検定と順位和検定で要約されている。

結果:85.4%(169/198人)の参加者は、医学生と会うことに肯定的な回答をし、3分の1の参加者が回答を変えたにもかかわらず、87.9%(174/197人)は調査後も意欲的であり、大きな変化はなかった。さらに、COVID-19による危害のリスクが大きいと感じている参加者の87.2%(41/47)が、学生との面会に満足していることがわかった。また、参加者は、学生が以下だとわかっていると安心感を覚えると報告した:ワクチン接種済み(76.0%)、マスク着用(71.5%)、直近1週間以内のラテラルフローテスト陰性(68.0%)、手袋・ガウン着用(63.5%)。

結論:本研究では、リスクが認識されているにもかかわらず、患者が医学教育に参加する意欲があることが示された。学生との交流のリスクとベネフィットに関する患者の考察は、学生との交流に前向きな人数を有意に減少させるものではなかった。重大な危害のリスクを感じている患者でも、学生との直接の接触に満足しており、医学教育における利他主義が実証された。このことから、インフォームド・コンセントには、感染対策、患者や学生にとってのリスクとベネフィットを議論し、入院患者との直接の接触に代わる選択肢を提示する必要があると考えられる。