医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Medical Students' Academic Satisfaction: Social Cognitive Factors Matter (Med Educ 2023)

An M, Ma X, Wu H. Medical Students' Academic Satisfaction: Social Cognitive Factors Matter. Med Educ. 2023 Mar 3. Epub ahead of print.

背景:学業満足度(academic satisfaction; AS)-医学生としての役割や経験をどの程度楽しんでいるか-は、well-beingやキャリア形成に重要な意味を持つ。本研究では、中国の医学教育の状況において、社会的認知因子とASの関係を探索する。

方法:理論的枠組みとして、学業満足の社会的認知モデル(the social cognitive model of academic satisfaction; SCMAS)を採用した。このモデルの中では、ASは社会的認知因子-環境的支援、結果への期待、目標の進捗状況の認識、自己効力感-と関連していると仮定している。人口統計学的変数、経済的プレッシャー、大学入試得点、SCMASの社会的認知構成要素を収集した。医学生の社会的認知因子とASの関係を探るため、階層型重回帰分析を行った。

結果:最終的にサンプリングされたデータは、119の医療機関の127,042人の医学生で構成されていた。人口統計学的変数、経済的プレッシャー、大学入試得点がまずモデル1に入力され、ASの分散の4%を説明した。社会的認知因子はモデル2に入力され、分散の39%をさらに説明した。医学生は、(a)医学の勉強で成功するために必要なスキルに強い自信を持っている(β = 0.20, P < 0.05), (b) 医学を学ぶ結果について楽観的な信念を持っている(β = 0.40, P < 0.05), (c) 医学勉強でうまく進んでいると感じる(β = 0.06, P < 0.05), (d) 適切な環境サポートを受けていると考える(β = 0.25, P < 0.05) と、高いレベルのASを報告した。このうち、「期待する結果」はASと最も強い相関を示し、1ポイント上昇するごとにASスコアが0.39ポイント上昇することが、モデル内の他のすべての因子を制御して示された。

結論:社会的認知因子は、医学生のASに重要な役割を果たす。医学生のASを改善することを目的とした介入プログラムやコースは、社会的認知因子を考慮することが勧められる。