医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Supportive and collaborative interdependence: Distinguishing residents' contributions within healthcare teams (Med Educ 2023)

Sebok-Syer SS, Lingard L, Panza M, Van Hooren TA, Rassbach CE. Supportive and collaborative interdependence: Distinguishing residents' contributions within healthcare teams. Med Educ. 2023 Feb 23. Epub ahead of print.

背景:個人の評価はチームの貢献を無視し、チームの評価は個人の貢献を無視する。相互依存 (interdependence)は、個人のパフォーマンスを評価する我々の教育的伝統と、個人を見失うことなくチームベースのパフォーマンスを評価するという我々の差し迫った課題との間の概念的橋渡しとして提唱されている。本研究の目的は、医療チーム内のレジデントの相互依存性を評価できる尺度を作成するために、相互依存性をより洗練された概念にすることであった。

方法:構成主義的グラウンデッド・セオリー・アプローチに基づき、救急医療と小児科という2つの異なる臨床専門分野にわたる医療チームの様々なメンバー(医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、患者など)に対して、2つの別々の施設で49件の半構造化インタビューを実施した。データ収集と分析は繰り返し行われた。データ収集と分析は、一定の比較帰納的分析を用い、コーディングは、初期、焦点、理論の3段階から構成された。

結果:我々は、参加者に相互依存について考え、それが臨床の場でどのように存在しているかを説明するよう求めた。参加者は全員、相互依存の存在を認めたが、相互依存が独立になるような直線的なスペクトルの一部とは考えていなかった。我々の分析では、相互依存の概念化を改良し、支持的相互依存 (supportive)と協力的相互依存 (collaborative)の2種類を含むようにした。支援的相互依存は、医療チーム内で、あるメンバーが自分の診療範囲内で行うには専門知識が不十分である場合に生じる。一方、協力的相互依存は、個人の診療範囲における経験や専門知識の不足によって引き起こされるのではなく、患者ケアには他のチームメンバーの貢献が必要であることを認識したときに生じる。

結論:個人を見失うことなくチームの集団的パフォーマンスを評価するためには、相互依存的なパフォーマンスを把握し、その相互依存の特性を明らかにすることが必要である。また、自立を最終目標とする直線的な軌道から離れることは、医療チームの相互依存的な一員としての個人の能力を測定する取り組みを支援することにもなる。