医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Personal Financial Wellness Curricula for Medical Trainees: A Systematic Review (Acad Med 2023)

Wesslund HM, Payne JS, Baxter JD, Westmark DM, Bartels K, Bailey KL, Krutsinger DC. Personal Financial Wellness Curricula for Medical Trainees: A Systematic Review. Acad Med. 2023 Jan 3. Epub ahead of print.

背景:教育ローン、金融リテラシーの低さ、退職金支払いの遅れなどが、医師の経済的ストレスの原因となることがある。このシステマティック・レビューでは、カリキュラムの開発方法、カリキュラムの実施方法、および医学生、レジデント、フェローを対象とした個人の財務健全性カリキュラムの有効性を評価するためのアウトカム指標を明らかにするものである。

方法:著者らは2022年7月28日にEmbase, MEDLINE (via EBSCO), Scopus, Education Resources Information Center (ERIC) (via EBSCO), and Cochrane LibraryデータベースとMedEdPortal (via PubMed)で検索を実施した。研究の対象は、少なくとも1回のコース終了後の評価の結果を報告しているものに限った。

結果:特定された1,996件のユニークな引用のうち、13件の研究が包含基準を満たした。3件(23.1%)が医学生向け、8件(61.5%)がレジデント向け、1件(7.7%)が内科フェロー向け、1件(7.7%)が産婦人科フェロー向けにカリキュラムが組まれていた。最も頻繁に議論された個人金融のトピックは、学生ローン、投資オプション、障害保険、生命保険、退職金、予算編成、債務管理、一般的な個人金融などであった。中央値(四分位範囲)3.5(1.4-7.0)時間が個人的な金融のトピックに費やされた。11のカリキュラム(85.6%)は、コンテンツを提供するために医師に依存していた。4つの研究(30.8%)では、コース前とコース後の金融リテラシーの評価を報告しており、それぞれコース後に金融リテラシーが向上したことを示していまる。4つの研究(30.8%)では、実際の金融行動の変化または計画された金融行動の変化を評価し、それぞれが金融行動の変化を奨励または支援したことが評価されている。1つの研究(7.7%)では、Expanded Well-Being Indexを用いて参加者のwell-beingを評価し、コース終了後に改善が見られた。
結論:教育ローンやその他の金銭的ストレス要因が医学部研修生のウェルネスに影響を与えることを考えると、教育機関は金銭的リテラシーの教育に投資することを検討すべきであろう。今後の研究では、金融行動の変化や有効なウェルネス指標など、より具体的な成果指標を報告する必要がある。