Pusic MV, Cook DA, Friedman JL, Lorin JD, Rosenzweig BP, Tong CKW, Smith S, Lineberry M, Hatala R. Modeling Diagnostic Expertise in Cases of Irreducible Uncertainty: The Decision-Aligned Response Model. Acad Med. 2023;98:88-97.
背景:心理測定モデルを用いた専門知識の評価は、通常、臨床現場における複雑な診断に一般化することが困難な能力測定値をもたらす。しかし、項目反応モデリングの枠組みを用いることで、臨床医の意思決定行動を、競合する診断の可能性を完全に表現する連続尺度で捉える、意思決定に沿った応答モデルを作成することが可能である。この概念実証研究において、著者らは、特定の心電図(ECG)の例を用いて、このモデルの必要な統計的概念化を実証する。
方法:著者らは、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)または心膜炎によりSTセグメントが上昇した心電図を幅広く収集した。パイロットデータに基づき、「間違いなくSTEMI」から「間違いなく心膜炎」までの連続体を表す20の心電図が選ばれ、診断が意図的に不明確な中間例も含まれた。救急医と循環器医がこれらの心電図を5段階で評価した(「間違いなくSTEMI」〜「間違いなく心膜炎」)。著者らは、これらの評価を、各参加者がどの程度心電図を診断の連続体に沿って分けることができるかを示す段階的反応モデルを用いて分析した。これらの評価指標を、カルテレビューで指摘された退院時の診断名と比較した。
結果:37人の参加者が心電図を評価した。希望通り、心電図は、参加者が診断に確信が持てない場合を含む、さまざまな表現型を表していた。反応モデルは、参加者がある疾患を別の疾患と診断する傾向と、5つの診断カテゴリーの間の閾値をどこに置くかの両方に違いがあることを示した。また、最も有能な参加者は、すべてのカテゴリーを有意義に使いこなし、カテゴリー間の閾値も正確であった。
結論:著者らは、特定の心電図の混同可能性と、臨床医が混同可能性の連続体に沿って2つの診断を区別できるスキルを示す、決定に沿った反応モデルを提示した。これらの結果は、検査や診断の不確実性を管理するための学習に対して、幅広い示唆を与えている。