医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Which learning experiences support an interprofessional identity? A scoping review (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2022)

Polansky MN, Koch U, Rosu C, Artino AR Jr, Thompson A. Which learning experiences support an interprofessional identity? A scoping review. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2022 Dec 20. Epub ahead of print.

背景:近年、医療専門職の研究者は、専門職としてのアイデンティティと専門職間のアイデンティティの両方を含む二重のアイデンティティ (dual identity)が、interprofessionalityにとって不可欠であることを示唆している。本スコーピングレビューでは、専門職間アイデンティティの育成を支援する可能性のある学習経験について記述し、今後の研究の方向性を示すことを目指した。

方法:2000年から2020年の間に出版された、2つ以上の医療専門職が関わる計画的または自発的な学習経験が、「専門職間アイデンティティ (interprofessional identity)」、または専門職間コミュニティへの帰属意識の発達を促進する影響を支持する経験的証拠を提供する論文を特定するために、スコーピングレビューを実施した。

結果:12の論文が対象となった。論文は、研究対象となる専門職グループも、参加者の発達レベルもさまざまであった。また、デザインされた活動やプログラムだけでなく、本物の臨床環境で自然に発生するものなど、多種多様な学習体験が記述されていた。また、長期的・総合的なプログラムの例も確認された。

結論:専門職間のアイデンティティの構成と、それが専門職間の実践に及ぼす潜在的な影響については、まだ十分に研究されていない。このスコーピングレビューの結果は、専門職育成の軌跡を通じて起こる様々な経験が、専門職間のアイデンティティを育む可能性があることを示唆している。縦断的で統合的な専門職間学習プログラムは、専門職間アイデンティティにより長期的な影響を与える可能性があり、このようなタイプのプログラムは今後の研究の焦点となるはずである。