医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Faculty development participants' experiences of working with change in clinical settings (Med Educ 2022)

Elmberger A, Blitz J, Björck E, Nieminen J, Laksov KB. Faculty development participants' experiences of working with change in clinical settings. Med Educ. 2022 Nov 25. Epub ahead of print.

背景:多くの大学では、医療専門職の臨床教育を発展・改善するために、教員を支援するためのFDを実施している。研究により、FD後の個人レベルでの成果は示されているが、組織内の変化への貢献についてはほとんど知られていない。現在のFDを発展させ、医療機関におけるより広い教育改革を支援できるようにするためには、こうした環境における教育改革の実践についてより深く理解する必要がある。そこで本研究では、FD研修を受けた臨床教育者の視点から、臨床現場における教育改革に取り組む経験を調査した。本研究では、コンテキストに影響される変化という視点を採用し、臨床現場が個人の変化への働きかけに与える影響も含めて検討する。

方法:多機関アプローチによるcollective case study designを適用し、スウェーデン南アフリカの2つの大学の臨床教育者14名に対して個別インタビューを実施した。データは別々に分析された後、クロスケース分析 (cross-case analysis)が行われ、両サイトからの知見が統合された。

結果:参加者は、臨床現場において、個人の教育実践を超えた教育改革に取り組む機会が限られているという経験を共有していた。また、参加者は変化をリードすることを控え、むしろ自ら変化を追求したり、変化への間接的なアプローチに頼ったりしているようであった。参加者は、指導の組織と管理、指導のためのリソースとインセンティブ、臨床コミュニティ内の指導に対する姿勢と信念など、自分の仕事に影響を与える職場のいくつかの側面について説明した。

結論:本研究は、臨床教育者がコミュニティやコンテクストの一部であり、それが教育改革へのアプローチを形成し、どの改革が実現可能で、どの改革が不可能であるかに影響を与えていることを示した。したがって、本研究は、変化を文脈的かつ動的なものとして理解し、実践における変化をよりよく支援するためのFDの進め方について示唆を与えるものである。