医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Parenthood and Medical Training: Challenges and Experiences of Physician Moms in the US (Teach Learn Med 2022)

P Judge-Golden C, K Dotters-Katz S, Weber JM, Pieper CF, Gray BA. Parenthood and Medical Training: Challenges and Experiences of Physician Moms in the US. Teach Learn Med. 2022 Nov 12:1-10. Epub ahead of print.

背景:医療研修と子育ての両立は困難である。我々は、様々な専門分野の医師の母親が第一子を出産した際に、研修の段階を問わず、研修プログラムのサポート、育児休暇 (parental leave)、母乳育児 (breastfeeding)、自己申告の最大の課題についての認識を調査した。我々の目標は、医師の親の経験を向上させるための戦略に役立てることである。

方法:この横断的観察調査研究は、2018年1月から2月にかけて、オンラインの医師母親支援グループからの便宜的サンプルを用いて実施された。記述統計および二変量分析を用いて結果を報告し、第一子時のキャリアステージとアウトカム変数との関係を検討した。自由形式の質問「医師ママ (physician mom)としての最大の課題は何ですか?」に対する回答は、質的に分析した。

結果:アンケートには896件の回答があった。専門は産婦人科(25.3%)、小児科(19.9%)、内科・小児科(17.1%)、家庭医療(10.2%)であった。参加者の大多数(63.9%)が、メディカルスクール(14.3%)、レジデンシー(35.8%)、フェローシップ(13.6%)などの医療トレーニング中に第一子を産んでいた。医学生は研修医やフェローよりもプログラムによる支援を受けにくい傾向があり(それぞれ44.1% vs. 63.1 vs. 62.3%)、医療研修中に親になった参加者のうち明確で適切な育児休暇制度があると答えたのは19.9%にすぎなかった。参加者の7割近くが6ヶ月以上母乳で育てており、キャリアステージによる統計的な差はなかった。ほとんどの参加者(57.6%)が、1つ以上の理由で出産を遅らせ、32.3%が研修修了のために出産を遅らせている。医師ママとしての最大の課題」の回答に最も多く適用されたコードは、時間不足、ワークライフバランスの欠如、欠落、過度の期待であった。

結論:医師の母親、特に研修中に第一子を出産した母親は、研修プログラムからのサポート、ワークライフバランスの確保、不全感などに悩まされ続けている。明確で適切な休暇制度、研修プログラム主催の託児所や施設内託児所、母乳育児や搾乳に対する研修プログラムのサポート改善などの介入は、参加者が述べた課題の改善に役立つ可能性がある。