医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Communicating Diagnostic Uncertainty at Emergency Department Discharge: A Simulation-Based Mastery Learning Randomized Trial (Acad Med 2022)

Rising KL, Cameron KA, Salzman DH, Papanagnou D, Doty AMB, Piserchia K, Leiby BE, Shimada A, McGaghie WC, Powell RE, Klein MR, Zhang XC, Vozenilek J, McCarthy DM. Communicating Diagnostic Uncertainty at Emergency Department Discharge: A Simulation-Based Mastery Learning Randomized Trial. Acad Med. 2022 Oct 4. Epub ahead of print.

背景:診断が不確実な状態で救急外来を退院した患者とコミュニケーションをとるための標準的なアプローチはない。この試験では、診断の不確実性を伝える能力を確立するために設計された、シミュレーションベースの習得型学習カリキュラムであるUncertainty Communication Education Moduleの有効性を検証した。

方法:2施設のレジデントが2019年9月~2020年6月に2群待機型ランダム化比較試験 (2-arm waitlist randomized controlled trial)に参加した。不確実性コミュニケーションチェックリスト(UCC)を用いた模擬患者との遭遇による全参加者のベースライン(T1)評価の後、即時アクセス医師は、即時フィードバック、オンライン教育モジュール、スマートフォンベースのアプリケーション、模擬患者との遠隔健康熟練練習を含むUncertainty Communication Education Moduleのトレーニングを受けた。すべての医師は16~19週間後(T2)に模擬患者との対面による再試験を受け、遅延アクセスの医師はその後介入を受けた。T2 の11~15週後に全医師を対象とした最終試験を実施した(T3)。主要アウトカムは、即時アクセス群と遅延アクセス群における、T2時点のUCC最低合格基準を満たすかそれを超える医師の割合で測定された。

結果:全体として、109名の医師がランダム化され、平均年齢は29歳(範囲25-46)であった。男性(69人、63%)、非ヒスパニック系/ラテン系(99人、91%)、白人(78人、72%)が大半を占めた。T2時点では、即時アクセスグループのみがカリキュラムを受けたが、即時アクセス医師は、遅延アクセス医師(n = 2, 3.7%, P < 0.001、即時アクセスグループの習得度の推定調整オッズ比、31.1 [95% CI, 6.8-143.1]) に比べて、習得度が著しく高かった(n = 29, 52.7% )。研修施設や研修の段階を調整すると、有意差は認められなかった。

結論:Uncertainty Communication Education Moduleは、模擬患者との面会における救急医の診断不確実性のコミュニケーション能力を、介入後の最初のテスト時に有意に向上させた。今後、これらのコミュニケーションスキルの臨床的な実施による影響を評価する必要がある。