医学教育研究者・総合診療医のブログ

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How does portfolio use affect self-regulated learning in clinical workplace learning: What works, for whom, and in what contexts? (Perspect Med Educ 2022)

van der Gulden R, Timmerman A, Muris JWM, Thoonen BPA, Heeneman S, Scherpbier-de Haan ND. How does portfolio use affect self-regulated learning in clinical workplace learning: What works, for whom, and in what contexts? Perspect Med Educ. 2022 Sep 22. Epub ahead of print.

背景:臨床現場での学習において、自己調整学習(SRL)を支援するためのポートフォリオの活用は広く行われているが、その効果についてはまだ不明な点が多い。このレビューは、ポートフォリオの使用がどの程度SRLをサポートするのか、またどのような状況下でサポートするのかについて洞察することを目的としたものである。

方法:リアリスト・レビューが2段階で行われた。まず、関係者へのインタビューとスコープ調査を行い、ポートフォリオ利用がどのようにSRLをサポートするのかを説明するプログラム理論を構築した。次に、詳細な文献検索を行った。その結果、文脈・メカニズム・結果の構成(CMO)を抽出するために、対象論文をコード化することができた。そして、これらを統合し、研究課題への解答を導き出した。

結果:16編の論文が含まれた(4編は質的な厳密さの基準をすべて満たした)。2つの主要なポートフォリオカニズムが確立された:熟考の瞬間としての文書化(学習者はポートフォリオレポートを書きながら経験を分析する)、過去の出来事を思い出すための文書化(過去のポートフォリオレポートが記憶を助ける)であった。これらのメカニズムが、ポートフォリオの使用と自己評価、内省、フィードバックとの間のポジティブな関係を説明する可能性がある。しかし、その他のSRLの成果としては、学習目標や計画の策定、モニタリングなどが限定的に支持されているに過ぎない。プログラム理論の部分的な支持は、文脈的要因(例:評価システム)とポートフォリオに関連するメカニズム(例:メンタリング)の干渉によって説明することができる。

結論:ポートフォリオ研究は、SRLの定義や概念など理論的な面でも、方法論的な面でも不十分な点が多い。しかし、このレビューから、ポートフォリオの使用はSRLをサポートする可能性があることが示された。しかし、ポートフォリオ使用のメカニズムは簡単に崩壊してしまう。このような混乱は、異なるポートフォリオの目的間の緊張に関連していると思われ、学習者のモチベーションを損なう可能性がある。