医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Balancing acting and adapting: a qualitative study of medical students' experiences of early clinical placement (BMC Med Educ 2022)

Sellberg M, Palmgren PJ, Möller R. Balancing acting and adapting: a qualitative study of medical students' experiences of early clinical placement. BMC Med Educ. 2022;22:659.

背景:臨床学習体験は、医学教育の重要な部分である。臨床学習環境において、学生は医療の様々な側面に触れ、監督下で技術を訓練することができる。学生の学習ニーズと実習の成果が満たされる監督が不可欠である。本研究の目的は、臨床実習の初期段階における医学生の経験を調査することであった。

方法:2021年、5学期の最初の臨床実習を終えた医学生に対して、18名の半構造化個別面接を実施した。インタビューは逐語的に書き起こし、Graneim and Lundmanに従って質的内容分析で分析した。

結果:その結果、「行動と適応のバランスをとる (balancing acting and adapting)」という全体テーマが得られた。「臨床学習環境はキャンパスから大きく飛躍していた」「個人的な人間関係が学習に影響を与えた」「臨床実習の組織が最適でなかった」という、臨床学習環境を記述する3つのカテゴリーが現れた。学生は、臨床スキルを実践するために自分を前へ押し出すことを奨励された。しかし、これはすべての学生に当てはまるわけではなく、慎重な学生は受動的な観客になる危険性があった。意図した学習成果はあまり活用されず、むしろ指導教官が学生に何を学んだかを尋ねたり、学生が病棟で重要と思われることに焦点を当てたりしていた。また、学生は指導医の勤務状況に適応し、指導医の負担とならないように努めていた。

結論:我々の調査結果は、キャンパスでの学習からの移行は、時に突然であったことを示している。監督におけるアドホックな解決策が発生し、教育的責任が格下げされ、臨床研修の機会が多様化するという経験の一因となった。学生は状況を変えようとするよりも、多忙な臨床学習環境に適応することを選択した。