医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Sailing the boat together: Co-creation of a model for learning during transition (Med Teach 2022)

Suliman S, Könings KD, Allen M, Al-Moslih A, Carr A, Koopmans RP. Sailing the boat together: Co-creation of a model for learning during transition. Med Teach. 2022 Aug 31:1-10. Epub ahead of print.

背景:医学生の卒後研修への移行は、新たな役割と責任の複雑さを考慮すると、関係者全員の関与が必要である。本研究では、移行期のカリキュラムを共同作成し、その設計プロセスにおいて移行期の主要な関係者を関与させることの価値を明らかにすることを目的とする。

方法:本研究では、教員・指導者(卒前・卒後)、医学部最終学年生、チーフレジデントを対象とした混合法による研究を実施した。まず、8回の共創セッション(CCS)を行い、その定性的な結果をもとに、非参加者を対象とした定量的な調査票を作成し、その後、当初の参加者との合意形成のためのCCSを2回行った。CCSの記録にはテーマ分析を、調査票の分析には平均値と標準偏差を適用した。

結果:その結果、「適応」「信頼性」「自律性」「つながり」「継続性」の5つのテーマが、支援的環境の基盤に埋め込まれ、「移行期の学習モデル(Model of Learning during Transition; MOLT)」を構成していることが明らかになった。様々なステークホルダーを巻き込み、その表現を最適化することで、デザインプロセスに豊かな視点をもたらした。これは、学生の積極的な参加によって強化され、最終的なコンセンサスを得ることができた。

結論:移行期の主要なステークホルダーの視点を取り入れることは、移行期のカリキュラムをより豊かにする。提案されたMOLTは、医学部実習の最終学年を最適化し、卒後研修に必要なコンピテンシーを育成するためのカリキュラム設計の指針になるものである。