医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Learning in and across communities of practice: health professions education students' learning from boundary crossing (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2022)

Stoffels M, van der Burgt SME, Bronkhorst LH, Daelmans HEM, Peerdeman SM, Kusurkar RA. Learning in and across communities of practice: health professions education students' learning from boundary crossing. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2022 Jul 12. Epub ahead of print.

背景:医療専門職教育(HPE)において、新しい文脈に適応するための学習は極めて重要である。コンテクスト間やコンテクスト内の境界は、学生の学習プロセスの連続性に疑問を投げかける。このような「境界体験 (boundary experiences)」を、HPE学生がどのようにしたら学習にとって生産的なものにできるかについては、ほとんど知られていない。我々は、看護学生が実践共同体(community of practice; CoP)に成長すると同時に、境界体験からどのように、そして何を学んでいるのかを調査した。

方法:境界を越えるレンズ (boundary-crossing lens)を用い、14名の看護学生がacademic hospitalでの実習中に行った実習前後のインタビューと日記の断片から、不連続性の経験を明らかにした。

結果:看護ケアや学習に対するアプローチの違いにより、学生が不連続性 (discontinuity)を経験することがわかった。学生は十分な安全感があれば、スタッフとの批判的な議論など、境界体験を有意義な学習状況に転換することができる。境界体験をうまく乗り越えることで、医療とprofessional developmentに対する学生の理解が深まり、学習への個人的な取り組みができるようになる。学生は、学習意欲があるときや倫理基準の違反を感じたときに境界体験に批判的に取り組むが、評価に影響することを懸念しているときにはそのようなことはない。理論と実践の架け橋となるようにデザインされたオブジェクトは、さらなる障壁を生み出す可能性がある。

結論:本研究は、境界の学習の可能性を示すことでHPEに関する文献に加え、境界体験への反応がCoPへの成長過程とどのように絡み合っているかを示すことでより広い文献に貢献するものである。この知見は、今後のboundary objectsの設計に活用することができる。