医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

An intersectional participatory action research approach to explore & address class elitism in medical education (Med Educ 2022)

Foreshew A, Al-Jawad M. An intersectional participatory action research approach to explore & address class elitism in medical education. Med Educ. 2022. Epub ahead of print.

背景:医療という職業にアクセスしにくい状況に対処するために、参加拡大がますます実施されてきている。しかし、「入学 (get in)」した「恵まれない (less privileged)」学生は、しばしば「参加 (get on)」することに苦労している。この参加型アクション・リサーチ・プロジェクト(PAR)は、「恵まれない」と自覚している医学生に、彼らの経験を表現し探求する場を提供する。

方法:PARは、医療専門職の教育において十分に活用されていないが、歴史的に抑圧的な構造において、周縁化されたコミュニティが変化を望むようになることが示されている。ここでは、参加者と研究者がパートナーとなって、研究課題を策定し、医学教育における周縁化された経験を分析する際に提起されるテーマについて議論する。交差型アプローチにより、学生はコミックを用いたワークショップと1対1のインタビューに自己紹介で参加した。コミックは、データを引き出すため、また、提起された複雑で相互に関連するテーマを分析するためのツールとして使用された。参加者は、自分たちの経験を「こうだったらいいな」という形で再想像し、変革のためのアイデアやアクションを展開した。

結果:彼らの生きた経験、感情、アイデアは、医療文化に蔓延する階級差別、人種差別、性差別に対抗するための知識の源となるものであった。特に、階級的エリート主義 (class elitism)は、労働者階級の出身である3人の女性に悪影響を与えた。ブルデューの研究は、他の批判的理論家とともに、社会階級のヒエラルキーが医療文化、医療、社会でどのように再生産されているかを理解するために用いられている。

結論:このプロジェクトは、それ自体がアクションであり、一般的に行われている医療文化の「周辺」にいると感じている、周縁化された学生たちのためのコミュニティを構築する場を作り出した。医療カリキュラムの脱植民地化・多様化運動の一環として、メディカルスクールが実施すべきさらなるアクションが提唱された。また、「平等、多様性、包摂」の議題にクラスを置くこと、そして労働者階級出身の医学生が経験する経済的不安やストレスの問題が、医学教育の中で認識され、さらに対処されることを我々は求める。