Kawamoto R, Ninomiya D, Kikuchi A, Tokumoto Y, Kumagi T. Relationship between rural self-efficacy and rural career intent after rural clinical training: a study on medical students in Japan. BMC Med Educ. 2022;22:445.
背景：日本では、地域医療クラークシップが地方での医療活動に対する肯定的な姿勢を促進し、地方への就職を促している。地方の自己効力感は、地方での臨床実習後のキャリア形成の意図に影響を与えることが示されている。しかし、地方での生活における主観的な困難さが将来の地方でのキャリア志向に与える影響も重要である。本研究では、地方自己効力感が、地方での生活困難と地方でのキャリア志向との関係に影響を与えるかどうかを検討することを目的とする。
方法：対象者は20-41歳［中央値（四分位範囲）：22（21-22）］の男性308名、女性255名であった。地方自己効力感は、15の質問からなる検証済みの尺度に基づくものであった。地方での生活に対する困難さは、学生に尋ねて測定した。地方自己効力感のスコアが、地方臨床研修終了後の日本人医学生の地方でのキャリア志向に及ぼす影響を評価するため、コホート調査を実施した。
結果：地方自己効力感スコアの高さは、女性（p = 0.003）、21歳未満（p = 0.013）、ロールモデルとなる医師がいる（p < 0.001）、学校推薦で入学（p = 0.016）、18歳まで地方または遠隔地で暮らす（p = 0.018）、general medicine志向（p < 0.001）という変数と大きく関連することが示された。さらに、ベースラインでの地方での生活の困難さは、より低い自己効力感スコアと有意に関連していた（p < 0.001）。地方臨床研修前に地方で診療する意思が強かった参加者は、地方自己効力感が高く、地方臨床研修後に地方でのキャリアをより積極的に志向することが示された（p ＜ 0.001）。多変量ロジスティック回帰分析では、性別、年齢、地域勤務のための奨学金、地方出身、general medicineへの志向などすべての交絡因子から独立して、地方での生活の困難さ［オッズ比（OR）: 0.61; 95％信頼区間（CI）、0.39-0.84］が依然として地方臨床研修後の低い職業意図と関連していることが示された。しかし、地方自己効力感（OR, 1.12; 95% CI, 1.07-1.16）を地方でのキャリア志向の要因として追加すると、地方での生活の困難さ（OR, 0.68; 95% CI, 0.43-1.06）はもはや関連要因として観察されなくなることが分かった。
結論：地方での生活に対する主観的な困難さは、将来の地方でのキャリア志向を低下させるが、高い地方自己効力感はこの低下を改善することが示された。
