医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Consensus on communication curriculum content in Danish undergraduate medical education: A Delphi study (Med Teach 2022)

Engel KG, Pedersen K, Johansen MD, Schoennemann KR, Kjaer LB, Nayahangan LJ. Consensus on communication curriculum content in Danish undergraduate medical education: A Delphi study. Med Teach. 2022 Jun 1:1-7. Epub ahead of print.

背景:患者を中心としたコミュニケーション能力の習得は、医学教育の重要な側面であり、資源を投入した指導と長期的な学習の機会の両方が求められている。現在、コミュニケーション教育の内容や時期には大きなばらつきがある。本研究の目的は、デンマーク国内における卒前教育(UME)のコミュニケーションカリキュラムの内容に関するコンセンサスを確立することであった。

方法:本研究では、専門家の間でコンセンサスを確立する方法として広く受け入れられているデルファイ法を採用し、教育における計画や意思決定の指針として活用した。本研究では、参加者間で60%以上の合意が得られた場合をコンセンサスとした。(1)医学生教育の主要なカリキュラム要素の特定、(2)各項目の重要性の評価、(3)項目間の優先順位付けと各スキルに求められる習得レベル(知識、監督下での遂行、単独での遂行など)に基づく評価、この3つのプロセスを反復するデルファイプロセスにデンマーク国内の医学部を持つ全4大学から様々な関係者が参加した。

結果:全国から149名の関係者が参加し、第1ラウンドの回答率は70%、第2ラウンドは81%、第3ラウンドは86%であった。デルファイ調査の結果、56の項目が得られ、それらは、(1)ラポールの確立、患者の視点への関与、ニーズへの対応、(2)基本的コミュニケーションスキルとテクニック、(3)encounterの段階と構造、(4)学生の個人特性とスキル、(5)特定の難しい患者グループと状況に依存した状況、の5カテゴリーで優先順位付けが行われた。

結論:デルファイ法を用いることで、UME のコミュニケーションカリキュラムの内容に関するコンセンサスを得ることが可能であった。これらの知見は、UME の統一性を確保するための重要な基盤となるとともに、医学教育全体におけるコミュニケーショ ン能力の開発という重要な長期的目標を支えるものである。