医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

A Matter of Trust: Online Proctored Exams and the Integration of Technologies of Assessment in Medical Education (Teach Learn Med 2022)

Fawns T, Schaepkens S. A Matter of Trust: Online Proctored Exams and the Integration of Technologies of Assessment in Medical Education. Teach Learn Med. 2022 Apr 25:1-10. Epub ahead of print.

背景:テクノロジーは医学界に広く浸透しているが、それが評価、学習、知識、パフォーマンスをどのように形成しているかを検証することはあまりに稀である。評価の文化は、アイデンティティ、社会的関係、そして専門職が正当と認める知識や行動も形成する。したがって、医学教育におけるテクノロジーと評価の組み合わせは、見直す価値がある。オンライン試験監督サービスは、COCID-19パンデミック時に、high-stakesな無認証試験をオンラインで継続する手段として、より一般的になってきた。監視の強化、差別、商業業者への管理委託といった批判があるなか、これは単に「試験のオンライン化」なのか、それとももっと深刻な意味があるのだろうか。この極端な例は、評価のテクノロジーが研修生と医学教育機関の関係にどのような影響を与えるかについて、何を教えてくれるのか。

方法:ポストデジタルとポスト現象学のアプローチを組み合わせ、2020年にオンラインで実施されるUnited Kingdom Royal College of Physicians (MRCP) membership examを分析する。このオンライン試験監督サービスの例を通じて生み出されたスクリプト、規範、信頼関係を検証し、それらを歴史的、経済的文脈のなかに位置づける。

結果:我々は、試験監督サービスが、監視の強化された規範のなかで受験者が従わなければならない厳しい台本と、目に見えない人間の試験監督によるデジタルデータの解釈によって損なわれた、偽りの客観性を示していることを発見した。それにもかかわらず、このような試験監督サービスは、データ駆動型のイノベーションのイメージ、オンライン不正問題の高まりに対応する必要性のレトリック、および医学教育機関内の評価形式の変化に対する嫌悪感(したがって、異なる形式の知識を正当なものとして受け入れる必要性)によって推進されている。

結論:医学教育機関におけるオンライン試験監督技術の使用は、試験においてすでに存在している監視と不信の規範を強化する。さらに、商業化、説明責任、信頼できる専門家の育成という相反する課題間の緊張を悪化させる。我々の分析は、技術的な「解決策」を導入する際に立ち止まって全体的な意味を検討し、医学教育の幅広い目標との関連でテクノロジーと評価方法の交差を問うことが重要である理由の一例を示している。