医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Promoting a sense of belonging, engagement, and collegiality to reduce burnout: a mixed methods study among undergraduate medical students in a non-Western, Asian context (BMC Med Educ 2022)

Puranitee P, Kaewpila W, Heeneman S, van Mook WNKA, Busari JO. Promoting a sense of belonging, engagement, and collegiality to reduce burnout: a mixed methods study among undergraduate medical students in a non-Western, Asian context. BMC Med Educ. 2022;22:327.

背景:バーンアウトは、仕事に関連した慢性的な対人ストレス要因によって引き起こされる心理状態である。バーンアウトを緩和するためのアプローチとして、帰属意識 (belonging)や仲間意識 (collegiality)を高めるための介入方法が提案されている。本研究では、以下を目的とした。(1)バーンアウト帰属意識(他者との関係性)、ワーク・エンゲージメントの関係を調査すること、(2) 医学部生が率前医療研修の場で、仲間意識、エンゲージメント、帰属意識に肯定的に寄与すると認識する主要な要素を特定すること。

方法:質問紙と半構造化個人面接を用いた探索的逐次混合法デザインにより、タイのマヒドン大学の医学部生を対象に量的および質的データを収集した。バーンアウトの測定には、Maslach Burnout Inventory-Student Survey質問票を使用した。仕事における基本的心理的欲求満足度尺度(Basic Psychological Need Satisfaction at Work Scale; BPNSS-21)およびユトレヒト作業関与尺度-学生版(Utrecht Work Engagement Scale-Student Version; UWESS-9)は、それぞれ学生の仕事における基本的心理的欲求満足度とワーク・エンゲージメントを測定するものであった。BPNSS-21とUWESS-9のデータに対して、記述的統計解析と確証的因子分析を行った。バーンアウトと他の要因との相関を明らかにするために、スピアマンの相関係数が用いられた。質的調査には、20名の医学部学生が参加した。質的分析は、テーマ分析のための定比較と一次、二次、三次コーディングの標準的な原則を用いて反復的に行われた。

結果:タイ語版のBPNSS-21とUWESS-9は、タイの文化的背景に対して許容できる適合性を示した。バーンアウトは、エンゲージメント(r = - 0.39, p < 0.005)および基本的心理的欲求充足(r = - 0.37, p < 0.005)と有意な弱い逆相関があった。帰属意識は、バーンアウトと有意に弱い逆相関を示した(r = - 0.25, p < 0.005)。質的な分析から浮かび上がった主なテーマは、関連する課題と学習活動、学習環境の安全性、仲間との交流、プログラム設計要因、医学部を進む際の同僚関係の力学、個人の姿勢と社会的スキルなどであった。

結論:帰属意識、エンゲージメント、同僚性は、バーンアウトと関連していた。同僚性、帰属意識、関与の促進には、関連する課題と学習活動、学習環境の安全性、仲間との交流、プログラムデザイン要因、医学部進学時の同僚性の力学、個人のスタンスと社会的スキルが重要であった。