医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Bridging medical education goals and health system outcomes: An instrumental case study of pre-clerkship students' improvement projects (Perspect Med Educ 2022)

O'Brien BC, Zapata J, Chang A, Pierluissi E. Bridging medical education goals and health system outcomes: An instrumental case study of pre-clerkship students' improvement projects. Perspect Med Educ. 2022 Apr 8. Epub ahead of print.

背景:多くのメディカルスクールでは、学生が医療システム改善(health system improvement; HSI)の取り組みに参加している。これらの取り組みに対する評価は、学生の学習成果に焦点が当てられることが多く、医療システムがこれらの取り組みに多大な貢献をしているにもかかわらず、医療システムへの影響について考慮されることはほとんどない。本研究では、クラークシップ前の医学生がHSIの取り組みに参加することで、システムレベルの成果が得られることを確認し、評価した。

方法:我々は、15ヶ月の体験型カリキュラムの一環として、医学生がHSIプロジェクトに参加することの効果を調べるために、instrumental case study approachを用いた。2017-18学年度に完成した53のプロジェクト概要とポスターからデータを抽出し、学生を指導し、これらのプロジェクトに貢献し、プロジェクトが発生した臨床マイクロシステムで働いていた医師コーチと医療システム専門家から2019年5月に収集したフォローアップ調査データを抽出した。

結果:我々は、HSIにおける医学生の関与に関連する医療システムの成果の3つのカテゴリーと10の指標を特定した。これらの指標を用いた評価では、プロジェクトが実施されたマイクロシステムに複数の利益があることがわかった。そのなかには、プロジェクトの目的の達成、プロジェクトが医療システムに与える直接的かつ持続的な影響の認識、国や医療システムの優先順位に沿った目的を持つプロジェクトの開発と実施などが含まれる。

結論:HSIカリキュラムの評価には、関係者全員にとって最適な経験を得られるようなプログラム設計ができるよう、保健システムへの影響も含める必要がある。本研究は、プロジェクト型HSIカリキュラムのシステムレベルでの効果を評価するための枠組みを提供し、学生の参加によって医療システムに価値をもたらすことができるいくつかの方法を示している。