医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Cultivating cultural awareness among medical educators by integrating cultural anthropology in faculty development: an action research study (BMC Med Educ 2022)

Oikawa S, Iida J, Ito Y, Nishigori H. Cultivating cultural awareness among medical educators by integrating cultural anthropology in faculty development: an action research study. BMC Med Educ. 2022;22:196.

背景:faculty development (FD)では、参加者それぞれの文化的背景を理解することが重要である。しかし、FDにおいて文化理解をどのように向上させるかについてのエビデンスは乏しい。文化人類学は、異文化を理解することによって文化的自己認識を深めることに焦点を当てた学問分野である。この分野の専門家は、医学教育者の文化的認識を培うという目標に極めて重要な役割を果たすことができる。本研究の目的は、1)FD における文化人類学のセッションを開発・修正し、2)これらのセッションの有効性を、その長期的な影響も含めて評価することである。

方法:京都大学で行われている縦断的なFDプログラム(Foundation Course for Medical Education)の一環として、文化人類学セッションが企画された。本研究では、FDに参加する47名の医学教育者と3名の講師(文化人類学者2名と医学教育者1名)を対象とした。我々は、文化人類学のセッションを開発し、縦断的なFDプログラムのなかで実施した。これらのセッションでは、文化人類学者が質問型リフレクションを用いた。アクションリサーチの方法論を採用し、2015年から2018年まで4サイクルで繰り返した。アクション・リサーチ・サイクルの間に、質的・量的データを収集した。質的データはテーマ分析がされた。

結果:文化人類学者の問いはセッション中の学習を促進し、3つのテーマ-文化相対主義、文脈への注意、リフレーミング-が統合された。また、このセッションの長期的な影響として、学習者は日々の教育活動や臨床活動における文化的文脈をより意識するようになったと報告した。

結論:FDプログラムの文化人類学セッションは、参加者の文化的文脈への認識を高めることが示された。このようなセッションのコンセプトや形式は、FDプログラムにおいてより広く活用される可能性がある。