医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The use of emotional intelligence skills in combating burnout among residency and fellowship program directors (BMC Med Educ 2022)

Khesroh E, Butt M, Kalantari A, Leslie DL, Bronson S, Rigby A, Aumiller B. The use of emotional intelligence skills in combating burnout among residency and fellowship program directors. BMC Med Educ. 2022;22:127.

背景:現在の医師のバーンアウトの割合は、医師以外の米国人労働者と比較して憂慮すべきものであり、この問題を軽減するために多くの介入が導入されている。しかし、医師のプログラムディレクターのバーンアウト率30%を特に対象とした介入策はない。プログラムディレクターの複雑で厳しい役割には、人間関係の構築、危機の解決、レジデントの仕事の確保、研修生のwell-beingの維持が必要である。本研究の目的は、プログラムディレクターのバーンアウト・レベルに感情的知性(EQ)が与える影響について調査することである。

方法:2021年5月17日から6月30日にかけて、ペンシルバニア州中南部の学術医療センターのプログラムディレクターとアシスタント/アソシエイトプログラムディレクターを対象に横断的調査を実施した。データ収集には自己報告式の質問票を使用した。調査には、Trait Emotional Intelligence Questionnaire- Short Form(TEIQue-SF)、Copenhagen Burnout Inventory(CBI)、人口統計学の質問とともに、自由形式の質問が含まれていた。すべてのデータはSAS Version 9.4で分析された。

結果:調査対象者109名のうち、34名(31.20%)から回答があった。その結果、EQとバーンアウトの間には中程度の逆相関があり、EQがバーンアウトに対する保護因子であることが示唆された。また、退職を考えているプログラムディレクターは、そうでないプログラムディレクターに比べて、より高いレベルのバーンアウトを示した。自由記述欄の質問によると、プログラムディレクターやアソシエイトが退職を考える理由として、サポート不足、マイクロマネジメント、批判、報酬の少ない余分な業務が挙げられていた。また、EQスキルと実務経験年数との関連は認められなかった。

結論:プログラムディレクターやアシスタント/アソシエイトプログラムディレクターのバーンアウトは、レジデントのバーンアウト率ほど憂慮すべきものではない。しかし,EQスキルが高く、バーンアウトが低いにもかかわらず、プログラムディレクターの43%近くが離職を検討していた。EQスキルの育成は、医療リーダーの定着率向上や離職率の低減に有効であると考えられる。