医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Readiness to enter the workforce: perceptions of health professions students at a regional Australian university (BMC Med Educ 2022)

Malau-Aduli BS, Jones K, Alele F, Adu MD, Drovandi A, Knott G, Young L, Jo C. Readiness to enter the workforce: perceptions of health professions students at a regional Australian university. BMC Med Educ. 2022;22:89.

背景:大学生から労働力への移行に伴うストレスや不確実性を軽減するために、実践に対する認識された準備が有効である。本研究は、オーストラリアの地方大学の医学部、歯学部、薬学部の最終学年生を対象に、臨床実践への準備に影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。

方法:本研究では、量的段階には調査票を、質的段階にはインタビューとフォーカスグループを実施し、逐次説明型混合研究法アプローチ (sequential explanatory mixed-methods approach)を利用した。量的データには記述統計を、質的データには帰納的テーマ分析をそれぞれ用いた。両フェーズで得られた知見のトライアンギュレーションにより、参加者の自己認識する臨床実践への準備に影響を与える要因について深く理解することができた。

結果:3つの学問分野から132名の学生がアンケートに回答し、14名がフォーカスグループとインタビューに参加した。学生は、患者中心の能力、コアスキル、高度なコンサルテーションスキルについて最も準備ができていると感じており、システム関連の能力と臨床ケアスキルについては最も準備ができていないと感じていた。3つの分野すべてにおいて、労働力の準備に関連する本質的な実現要因および自信形成要因として特定されたテーマは、得られた知識とスキル、臨床実習の経験の価値、仲間や家族やスタッフからのサポートであった。しかし、学生は、学業の負担が大きいことや医療制度に関する知識が乏しいことが、スキル開発に影響し、就労準備が損なわれていると感じていた。参加者からは、医療制度や臨床ガバナンス、メンタルヘルスケア、実習先への導入など、さらなるサポートがあれば、就労準備がさらに向上することが示唆された。

結論:本研究の結果から、医療系学生の就業準備を向上させるには、学習ニーズと実社会での実践機会の整合性、支援制度の適切性の確保、医療制度への早期な習熟が必要であることが示唆された。