医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Teaching "medical interview and physical examination" from the very beginning of medical school and using "escape rooms" during the final assessment: achievements and educational impact in Japan (BMC Med Educ 2022)

Akatsu H, Shiima Y, Gomi H, Hegab AE, Kobayashi G, Naka T, Ogino M. Teaching "medical interview and physical examination" from the very beginning of medical school and using "escape rooms" during the final assessment: achievements and educational impact in Japan. BMC Med Educ. 2022;22:67.

背景:臨床医学の基本である問診と身体診察をどのようなタイミングで教えるべきかについて、コンセンサスは得られていない。我々は、日本で「問診と身体診察」というコースを医学部入学当初から教えることの影響を調査した。さらに、シミュレーターを用いたゲーム形式の時間制限付きシナリオ Escape Roomsをコースの最終評価の一部として用いることの教育的価値についても評価した。

方法:日本の国際医療福祉大学医学部1年生140名を対象に、コース終了時に、模擬患者役の医師による問診能力の評価を行った。身体診察能力は、Escape Roomチームタスク法を用いて評価した。また、学生はEscape Roomの前後で身体検査能力に対する自信を自己評価した。最終評価の前日には、学生が匿名でコース評価を行った。

結果:学生の医療面接スキルは、1~6の評価尺度(1-failから6-outstanding、現役の若手医師と変わらない)を用いて、平均4.6点の総合評価を得た。また、Escape Roomでは、平均89%のチームが、決められた時間内にすべての身体検査タスクを正確に終了した。時間内に終了できなかったチームも、3~5分の追加時間が与えられると、すべてのタスクを正しく終了した。学生の身体検査スキルに対する自己評価では、Escape Roomの前後で49から73(100点満点)に増加した。コース評価アンケートでは、99%の学生が「このコースはモチベーションを高めた」(回答率89%)、同じく99%の学生が「このコースは興味深く、役に立った」(回答率86%)と回答した。

結論:本コースは、総合的な医療面接と基本的な身体診察のスキルを習得するという目的を達成するだけでなく、学生のモチベーションを向上させることができることが、量的および質的データを分析したこの記述的研究によって明らかになった。また、コース評価で使用したEscape Roomは、それ自体が学生の自己認識する身体検査能力を高め、教育的な付加価値を持つものであった。