医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Beyond the ratings: gender effects in written comments from clinical teaching assessments (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2022)

Ginsburg S, Stroud L, Lynch M, Melvin L, Kulasegaram K. Beyond the ratings: gender effects in written comments from clinical teaching assessments. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2022 Jan 28. Epub ahead of print.

背景:学習者による臨床教師の評価には問題がある。構成と無関係な要因 (Construct-irrelevant factors)が評価に影響し、女性教師は男性より低い評価を受けることが多い。しかし、ほとんどの研究は、数値的なスコアのみに着目している。

方法:著者らは、ある医学部の女性教員282名、男性教員448名、計4032個の教員評価に関するコメントを分析し、性差の有無を探った。NVivoを使用して、優れた教育を反映するとされる61のエビデンスおよび理論に基づく用語を検索し、2×2カイ二乗検定を用いて分析した。コメントデータの分類には、Linguistic Index and Word Count (LIWC)を用い、線形回帰を用いて分析した。

結果:NVivoでは、コメント中に「available」という単語があるのは、男性の方が女性より多いという結果だけが有意な差となった(OR 1.4, p < 0.05)。LIWCの変数の一部には、有意な性差が見られたが、すべての効果はわずかであった。男性の教師は、肯定的な感情の言葉がより多く書かれ、否定的な感情の言葉は同じように書かれた。有意な差は、教師の性別に起因するものよりも、コメントを書いたレジデントの男女間でより頻繁に生じた。例えば、女性レジデントは男性レジデントよりも社会的・ジェンダー的な言葉が多く(β 1.87, p < 0.001)、権力や成果に関する言葉が少なかった(β -3.78, p < 0.001)。この大規模で多様な大学医学部において、教師評価コメントに顕著な性差は見られず、これは他の研究とは異なっていた。

結論:著者らは、診療科の文化の違いや使用した手法に関連する問題など、考えられる理由を探っている。