医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Strangers in a Strange Land: the experience of physicians undergoing remediation (Med Educ 2022)

Bourgeois-Law G, Regehr G, Teunissen PW, Varpio L. Strangers in a Strange Land: the experience of physicians undergoing remediation. Med Educ. 2022 Jan 26. Epub ahead of print.

背景:practicing physicianにおける再教育 (remediation)の経験については、これまであまり研究されてこなかった。被再教育者はしばしば否定的な感情を示すが、観察者はその背後にある理由を推し量るしかない。被再教育者の視点を理解することは、再教育を義務付け、組織する側が、関係者全員の経験を改善し、被再教育者が成功する可能性を最大化する方法で、再教育のプロセスを構成するのに役立つかもしれない。

方法:臨床能力に関する懸念から再教育を受けた17名の医師を対象に、電話によるインタビューを行った。参加者のデータは、まず反復的にテーマ分析され、その後、全体としてのストーリーを理解するために、各参加者のナラティブ分析モードを使用して再分析された。この構成主義的研究のデータ分析のレンズとして、Figured Worlds theoryが用いられた。

結果:RemediationのFigured World(FW)に入った参加者は、「良い医者」としての自分の立場が脅かされていることを認識した。この世界を経験したことがなく、この世界をナビゲートするための支援もほとんど得られなかった参加者は、自らの主体性を発揮して、FW内のさまざまな言説の糸を引き寄せ、自分の再教育についての物語を構築していった。参加者は、自分自身を規制機関の犠牲者として、あるいは困難な状況を切り抜けることのできる回復力のある個人として位置づける傾向があった。どちらの場合も、選択された言説の糸によって、「良い医者」としての自己同一性を維持することができたのである。

結論:再教育は、医師の職業的・個人的アイデンティティを脅かすものである。再教育の教育的側面、すなわち知識やスキルの向上に主眼を置くことは、医師のアイデンティティに与える影響を見逃す危険性がある。私たちは、このアイデンティティの脅威に対処する医師を支援するだけでなく、私たちの評価と再教育のプロセスが、再教育対象者が自分を被害者とみなすような言説の糸を不用意に引き寄せることがないようにする必要がある。