医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Evidence of Specialty-Specific Gender Disparities in Resident Recruitment and Selection (J Grad Med Educ 2021)

Bowe SN, Wang X, Whipple ME, Bly RA. Evidence of Specialty-Specific Gender Disparities in Resident Recruitment and Selection. J Grad Med Educ. 2021;13:841-847.

背景:専門分野別の男女格差は多因子にわたっているが、この議論に欠けているのは、採用や選抜の影響である。カスタマイズされたデータレポートを活用し、2013年から2018年にかけて、外科および内科の11の専門分野内の志願者およびレジデントの性別代表の傾向を比較した。

方法:応募者データはElectronic Residency Application Service(ERAS)から、レジデントデータはAccreditation Council for Graduate Medical Education(ACGME)から入手した。申請者あたりの申請件数が多い11の専門科を対象とした(皮膚科,救急医療,一般外科,神経外科,産婦人科[OB/GYN],整形外科,耳鼻科,形成外科,放射線腫瘍科,放射線科,泌尿器科)。コクラン・アーミテージ傾向検定により、全申請者グループとそれに対応するレジデントグループにおける女性の割合の変化を評価した。ERASとACGMEのデータについて、女性の割合の平均値を比較するためにt検定を使用した。

結果:耳鼻咽喉科、形成外科、放射線腫瘍科、泌尿器科は、調査期間中に大きな変化はなかった。皮膚科、一般外科、整形外科では、志願者の性別の多様性が増加したが、産婦人科では性別の多様性が減少した。一般外科と神経外科では、時間の経過とともに、レジデント代表の性別の多様性が増加した。救急医学と放射線医学では、志願者と比較して、マッチングしたレジデントの性別の多様性が増加し、産婦人科では性別の多様性が減少した。

結論:今回の結果は、基本的なデータを提供するものであるが、性別の多様性を理解し改善する試みにおける明らかなギャップも示している。これらの取り組みを支援するためには、レジデントの募集・選考の全段階からデータを取得し評価する多面的なアプローチが必要である。