医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Patients benefit from mentoring students in an interprofessional health mentors program: A contextual-developmental analysis (Med Teach 2022)

Kline CC, Riganti P, Moller-Hansen A, Godolphin W, Towle A. Patients benefit from mentoring students in an interprofessional health mentors program: A contextual-developmental analysis. Med Teach. 2022 Jan 10:1-7. Epub ahead of print.

背景:医療専門職教育におけるメンターシッププログラムは、しばしばメンターとメンティーの間で相互に利益をもたらす関係として特徴付けられるが、メンターにとっての利益についてはほとんど知られていない。メンターには、医療専門家、大学教員、他の学生(ピア)、患者(ヘルスメンター)などがいる。我々は、ヘルスメンター(慢性的な健康状態・障害を持つ人、または介護者)が学生を指導することによって得られる利益、およびこれらの利益に貢献する、または説明する文脈的要因について研究した。

方法:ブリティッシュ・コロンビア大学のヘルスメンター・プログラムで、異なる医療専門職の学生を1~8回指導した経験のある72人のヘルスメンターを対象に調査を行った。メンターシップの文脈的発展的枠組み (contextual-developmental framework of mentorship)を用いて、メンターがプログラムからどのような利益を得ているかについての自由形式の質問に対する回答を分析した。

結果:世代交代(次世代への指導)、変容(個人の成長と内省)、「キャリア」開発(自己効力感の向上による新たな活動)の3つのカテゴリーに分類された。文脈的な要因としては、非臨床的な環境、非公式な会議と相互学習、プログラムと学生から評価されていると感じること、などが挙げられた。

結論:ヘルスメンターは、自分の生きた経験を学生に伝えることで、自己の成長や新たな活動につながるというメリットを感じている。彼らの視点は、効果的なメンター関係の仕組みについてユニークな洞察を与えてくれる。メンターの利点がどのようにプログラムデザインに結びつくかについては、学ぶべきことが多い。