医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

What stressors and energizers do PhD students in medicine identify for their work: A qualitative inquiry (Med Teach 2021)

Kusurkar RA, Isik U, van der Burgt SME, Wouters A, Mak-van der Vossen M. What stressors and energizers do PhD students in medicine identify for their work: A qualitative inquiry. Med Teach. 2021 Dec 14:1-5. Epub ahead of print.

背景:博士課程の学生の間でメンタルヘルスの問題が増加していることは、世界的な問題である。本研究は、博士課程におけるストレス要因 (stressor)および活性化要因 (energizer)を明らかにすることを目的とした。

方法:university medical centerの博士課程在籍者を対象に、博士課程でのストレス要因および活性化要因の上位3つをアンケートで尋ねた。その回答は内容分析にかけられた。

結果:386名の博士課程の学生が参加した。その結果、5つの包括的なテーマが明らかになった。「研究は困難である」「リソースは限られている」「仕事の価値を認識する」「自律の経験」「成功の鍵は人間関係」の5つである。また、それぞれのテーマについて、ポジティブなコメント(活力となるもの)とネガティブなコメント(ストレスとなるもの)が見受けられた。

結論:オープンなコミュニケーションを伴う支援的な監督は、博士課程の学生のwell-beingに最も重要な貢献をするものとして文献に示されており、一方で、ワークライフインバランスは心理的苦痛の最も重要な理由とされてきた。我々の研究では、理論的な枠組み(自己決定理論 Self-determination theory)に適合する活性化要因とストレス要因を追加している。これにより、問題をよりよく理解し、具体的な提言を行うことができる。
最適な課題、リソースと監督、職場での自律性と良好な人間関係は、活性化要因として認識されている。能力を超えた研究への挑戦、リソースの制限、評価されないこと、自律性の制限、職場の人間関係の悪さは、博士課程でのストレス要因として認識されている。