医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Junior doctors' experiences with interprofessional collaboration: wandering the landscape (Med Educ 2021)

Van Duin TS, de Carvalho Filho MA, Pype PF, Borgmann S, Olovsson MH, Jaarsma ADC, Versluis MAC. Junior doctors' experiences with interprofessional collaboration: wandering the landscape. Med Educ. 2021 Dec 10. Epub ahead of print.

背景:医学生からジュニアドクターへの移行は困難なものである。ジュニアドクターは、新たな責任、課題、期待に対処しながら、医師の診療コミュニティ(community of practice; CoP)の一員になる必要がある。それと同時に、Landscape of Practice (LoP)を形成する他の実践コミュニティとの境界や交わりをどのように乗り越えるかを学ぶ必要がある。本研究では、若手医師がどのように多職種連携(interprofessional collaboration; IPC)を経験しているのか、また、臨床現場への移行時にどのような要素がこれらの経験を形成するのかを理解することを目的としている。

方法:本研究では、13名のジュニアドクターがIPCの経験について、ポジティブなものとネガティブなものの2つのリッチピクチャーを描いた。リッチピクチャーとは、視覚的表現であり、経験の複雑で非言語的な要素を捉えることを目的とした特定の状況の描画である。私たちは、ジュニアドクターが描いたIPC体験の理解を深めるために、半構造化インタビューを行った。視覚資料とインタビュー記録の両方を反復的に分析し、帰納構成主義的テーマ分析を採用した。

結果:ジュニアドクターは、医師になる過程で、医師CoPの主要なメンバーとなり、医師コミュニティで認識された価値観に基づいて、自らのプロフェッショナル・アイデンティティを形成する。多職種間の学習は、多職種間のチームからのインプットなしに、暗黙のうちに行われる。その結果若手医師は、自分と多職種チームの間のギャップを埋めるのに苦労し、IPCの学習が統合的なプロセスに発展するのを妨げている。このような専門家の孤立は、他者の役割、態度、期待を理解することなく、ジュニアドクターを実践の場に放り出すことになる。

結論:PCの学習は、集団的な努力と、LoPに既に存在する専門知識を活用するための多元的なフィードバックに基づく明確な学習目標となる必要がある。さらに、ジュニアドクターには、経験豊富なファシリテーターの指導のもと、多職種間の交流によって生じた感情を受け入れ、それを反映するための安全な環境が必要である。