医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

"I'm not the doctor; I'm just the patient": Patient agency and shared decision-making in naturally occurring primary care consultations (Patient Educ Couns 2021)

Lian OS, Nettleton S, Grange H, Dowrick C. "I'm not the doctor; I'm just the patient": Patient agency and shared decision-making in naturally occurring primary care consultations. Patient Educ Couns. 2021 Oct 30:S0738-3991(21)00715-1. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、診察中にその場で臨床的な意思決定が行われる際の相互作用のプロセスを探ることである。特に、患者が意思決定プロセスにおいて行動を提案したり反対したりすることで、どのようにエージェンシーを示すのか、また、その関わりがどのような規範的次元や役割期待を伴うのかを探る。

方法:イギリスのgeneral practitionerと患者との間で行われた212件の診察から得られた、22件の自然発生的な診察の逐語的トランスクリプトをナラティブ分析した。データセット全体をテーマ別にコーディングした後、特に関わりの深い患者の診察内容22件を選んで詳細な分析を行った。

結果:患者は、行動を提案するよりもさらなる行動に反対することが多く、提案するよりも直接反対することが多い。患者は、提案する理由や反対する理由を説明するときに、自分の価値観を明らかにする。患者の役割遂行能力は、診察のなかで変化する。

結論:自己主張の強い患者は、行動に直接反対し、その理由を詳しく説明するときに、最も大きな影響力を主張し、おそらくそれを達成することができる。患者は役割期待が曖昧である。意思決定プロセスの最終段階では、患者は通常、GPの権威に従う。臨床家は、プロセスと内容の両方の規範的な側面と、患者の行動が彼らの制度的な立場によって制約される方法とを意識しながら、診察全体を通して患者が意思決定に関与したいと思っている方法に注意を払うべきである。