医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Radl-Karimi C, Nielsen DS, Sodemann M, Batalden P, von Plessen C. "When I feel safe, I dare to open up": immigrant and refugee patients' experiences with coproducing healthcare. Patient Educ Couns. 2021 Nov 18:S0738-3991(21)00729-1. Epub ahead of print.

背景:ヘルスケアにおけるコプロダクション (coproduction)の概念への関心が高まっている。コプロダクションによると、サービスは財 (goods)とは異なり、常にユーザーとサービス提供者によって共同生産される。本研究では、移民・難民が臨床の場で医療サービスのコプロダクションをどのように認識しているかを探索した。

方法:様々な背景と健康問題を抱える13人の患者に半構造化インタビューを行った。参加者は、デンマークの大学病院で行われている、移民や難民のための学際的なクリニックでpurposefullyに募集した。インタビューは逐語録化、匿名化、meaning condensationを用いて分析された。

結果:患者は、自分自身でいられてサポートされていると感じる、安全な空間の重要性を強調した。このことは、患者がオープンになり、自分の健康のコプロダクションにおいて積極的な役割を担うことを促した。優しさと親近感に基づいた安定した治療同盟は、患者が強さを見出し、自分の健康に責任を持つことを助けた。

結論:本研究は、移民や難民がどのように医療サービスのコプロダクションを経験するかについての理解を深めるものである。コプロダクションの取り組みの長期的な成果を評価するさらなる研究が必要である。医療従事者が移民・難民患者の生活実態に耳を傾け、共感的に検証する時間を持つ安全な空間を提供することで、患者は心を開き、自らの健康の主体となることができる。