医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Emotion as Reflexive Practice: A new discourse for feedback practice and research (Med Educ 2021)

Ajjawi R, Olson R, McNaughton N. Emotion as Reflexive Practice: A new discourse for feedback practice and research. Med Educ. 2021 Nov 21. Epub ahead of print.

背景:医学や医療と同様に、フィードバックは感情が込められた行為であり、与えられた文脈のなかでの自分のアイデンティティやステータスに関連する感情で飽和している。しばしば、フィードバックのこの感情的な側面は、無視したり管理したりするべき障害とみなされる。感情は基本的に学習と結びついているため、このような視点はフィードバックの実践に悪影響を及ぼす可能性がある。この批判的レビューでは、フィードバックに関する文献のなかで、感情に関する言説はどのようなものか、そしてそれらはどのような「働き (work)」をしているのか、ということを問いかける。

方法:我々はこの分野のトップジャーナル3誌、Academic Medicine, Medical Education, Advances in Health Sciences Educationで、感情とフィードバックに関する批判的な文献レビューを行った。分析にはフーコーの批判的言説アプローチを用い、感情に関する言説を特定し、それらがどのようにフィードバックの実践を形成しているかを解釈した。

結果:32の論文のうち、感情に関する4つの重複する言説が特定された。生理的なものとしての情動は、情動を内面的、生物学的、常在的、不変的なものとし、しばしば問題となる。スキルとしての情動は、情動を内的なもの、主に認知的なもの、調整可能なものとして位置づける。反省的実践としての感情の言説は、感情の社会的・対人的な理解を示唆し、社会文化的言説としての感情は、政治的な力として学習環境のなかで循環する感情を見て、反省的実践の言説を拡張する。

結論:感情社会学の研究に基づき、我々は感情を(病的ではなく)必然的なものとして、また潜在的に麻痺させたり動機づけたりするものとして、さらには階層的な社会的ヘルスケアの風景の中に位置する(そしてしばしば強化する)ものとして研究することの利点を提案する。今後のフィードバック研究では、医療専門家教育における感情に関する言説-理論-実践のつながりを、感情の再帰的な言説や社会文化的な言説を用いて認識する方向に移行することを提案する。